ファッションセンスゼロの僕にピーコさんが遺してくれた言葉「迷ったら両方買いなさい」「Gジャンはやめた方がいいわ。垢抜けないから」
【ノマドの窓~渡る世間はネタばかり~】 ピーコ(本名・杉浦克昭)さんが逝ってしまった。僕は決して「早過ぎる」とは思わないし、ここ数年はつらい日々だったようだから「お疲れさまでした。ごゆっくり」とありきたりな言葉で送りたい。 【写真】仲良く写真に収まるおすぎさんとピーコさん。オネエ系キャラの先駆けとして活躍(平成10年撮影) 放送作家として、現場で付かず離れずご一緒させていただいた思い出のいくつかを書いておこうと思う。 「辛口ピーコのファッションチェック」というコーナーで一気に全国区になったピーコさんは「思ったことをズバリ言う」「毒舌」などというイメージを持たれたけれど、あれは人一倍のサービス精神から来るキャラクタートークであって、実際は物腰の低い気遣いの人。とても賢い人だから、自分が何を期待されているかわかって、それに応えてくださっていたのだ。 大阪発の情報番組に、わざわざ東京からレギュラー出演するコメンテイターの先駆けではなかったか。 関西には、上岡龍太郎、上沼恵美子らの司会陣に、桂ざこば、桂南光をはじめ、コワイものなしの本音トークを繰り広げる出演者が控えていたので、そんじょそこいらの文化人を東京から呼んでも太刀打ちできない。しかし、ピーコさんはそんな関西トークに違和感なく溶け込める才能があって重宝されたのだと思う。スタッフの一人として、本番以外での雑談を聴かせてもらっていたが、そこには関西芸能人のピーコさんへの「何でもよう知ってはる。きちんと自分の考えを持ってはる」ことへのリスペクトがあった。 さて、数年前のコロナ禍の話。僕が構成を担当していた情報番組にピーコさんはレギュラー出演していたのだが、例によって、新幹線移動は不可、東京在住の出演者はどこかのスタジオあるいは自宅から、モニターでコメントするというリモート出演スタイルになった。 とはいえ、そこにはカメラマンがいて、番組の進行を指示するスタッフも一人必要だ。そこで東京在住の僕が、毎週1回、青山のピーコ事務所に伺って、ピーコさんにキューを出す担当になったのである。 その部屋には映画関連本がたくさんあり、番組の合間や前後に、映画や芝居の話をしたり、ファッションのアドバイスをもらったりした。というのも、僕はファッションセンスゼロを自負していて、ここぞとばかりに質問攻めしたのである。最後に、印象深いピーコ・アドバイスをふたつ書いておこう。