「加計学園」問題を時系列で振り返る 坂東太郎のよく分かる時事用語
■2017年 加計学園が国家戦略特区の事業者に認定
《1月4日》 内閣府と文科省が連名で告示。獣医学部新設に関して、前年11月の諮問会議での決定「に従い、一校に限り」「認可を申請される」としました。「平成三十年度に開設する獣医師の養成に係る大学の設置」にしか適用しないとも。同日、事業者の公募を開始しました。 《1月10日》 加計学園だけが獣医学部新設の事業者に応募しました。 《1月20日》 加計学園が内閣府から事業者と認定されました。同年7月24日の衆院予算委員会の閉会中審査で、首相が「(この日に)獣医学部新設計画を知った」と説明した日付でもあります。
前年11月の諮問会議決定から1月4日の告示までの経緯から推測すると、加計学園のライバルであった京産大排除を目的としていたと勘ぐることはできましょう。何しろ同大が立地する「関西圏 国家戦略特別区域会議」には大阪府立大学生命環境科学域獣医学類があるため、「広域的に獣医師養成大学等の存在しない」に当てはまりません。しかも「一校に限り」ですから、「加計学園の次」の椅子もないわけです。結局、京産大は期日までに応募すらしませんでした。 もっとも、京産大は7月に行われた記者会見で、獣医学部新設の断念に至ったこうしたストーリーを肯定していません。マスコミ報道を総合すると、申請しなかった最大の理由は1月の文科省・内閣府告示で、開学時期が「平成30年度」と初めて知り、質の高い教員確保には準備期間が足りないと判断したようです。 その通りかもしれないし、上述の勘ぐり通りであったとしても、「時期が我が校にとって早すぎた」という穏便な言い方で波風を立てなかったのかもしれません。 《3月》 加計学園が文科省に獣医学部の設置を申請しました。舞台は同省の「大学設置・学校法人審議会」(設置審)に移りました。8月に認可の是非について設置審が判断を保留するなど、一時期雲行きが怪しくなりました。 《5月》 朝日新聞が5月17日付の朝刊1面で、「新学部『総理の意向』 文科省に記録文書 内閣府、早期対応求める 加計学園計画」との見出しで疑惑追及を開始。記事冒頭を引用すると、「安倍晋三首相の知人が理事長を務める学校法人『加計学園』(岡山市)が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、文部科学省が、特区を担当する内閣府から『官邸の最高レベルが言っている』『総理のご意向だと聞いている』などと言われたとする記録を文書にしていたことがわかった」とあります。 おおよそこの記事が号砲となって、「加計学園問題」がマスコミをにぎわすようになりました。 《11月》 10月の衆院選で自民党(安倍総裁)が284議席を獲得。連立を組む公明党と合わせて3分の2を維持しました。前回の選挙より改選数が10減されていたので前進したといえましょう。結局、文科省は11月14日に加計学園の獣医学部新設を認可しました。 そして翌2018年4月、愛媛県今治市に岡山理科大学獣医学部として開学しました。