「加計学園」問題を時系列で振り返る 坂東太郎のよく分かる時事用語
■2015年 「日本再興戦略」で獣医学部の新設に言及
《2月》 加計学園の加計理事長と安倍首相が面会し、首相が「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と発言したされています。愛媛県が2018年5月に国会へ提出した文書に記載されていました。これに対し、学園側は面会を否定。6月19日には理事長が急きょ、本部のある岡山県で記者会見して、面会は「記憶にも記録にもない」とあらためて否定します。県との打ち合わせで「いいね」などの情報を「私が言ったのだろう」とする渡辺良人学園事務局長は減給処分となりました。 《4月》 愛媛県と今治市の職員、及び加計学園幹部が2日、藤原豊内閣府地方創生推進室次長と内閣府内で面会した後に、柳瀬唯夫首相秘書官と首相官邸で面会。柳瀬氏は「本件は、首相案件」と発言したとされています。これも愛媛県が作成した文書に記載されていたものです。柳瀬氏は「記憶の限りではない」とぼかしていましたが、今年5月10日の衆議院予算委員会に参考人として招致された時は「加計学園の方、その関係者の方と面会をいたしました」と軌道修正。 その上で「今治市の個別プロジェクトが首相案件になるという旨を申し上げるとは思いません。そもそも、言葉といたしまして、私はふだんから首相という言葉は使わないので、私の発言としてはややちょっと違和感がございます」と答弁。「首相案件」発言も、「加計学園の件につきまして、総理に対して報告したことも、指示を受けたことも一切ありません」と首相の関与も、それぞれ否定しました。 《6月》 今治市と愛媛県が国家戦略特区での獣医学部新設提案を行いました。 《同月》 安倍政権の経済戦略「アベノミクス」を支える「3本の矢」の3本目にあたる「成長戦略」を具現化した「日本再興戦略」の15年バージョン「改訂2015」が、30日に閣議決定されました。 その一部に「獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討」の項目が設けられ「現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化し、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的需要が明らかになり、かつ、既存の大学・学部では対応が困難な場合には、近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う」と記されています。