「加計学園」問題を時系列で振り返る 坂東太郎のよく分かる時事用語
1年以上にわたって国会で追及されている学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題。先月19日には同学園の加計孝太郎理事長が会見し、安倍晋三首相との面会を否定したことがニュースになりました。 【写真】森友・加計問題 安倍首相の答弁を振り返る 坂東太郎のよく分かる時事用語 この問題では、メディア報道および文部科学省(文科省)や愛媛県の文書などさまざまに入り混じって、いったい何が論点なのか分かりにくくなっている気がします。そこで便法としていったん時系列で整理してみました。
■2007年~2014年 「構造改革特区」で15回不採用
内閣府によると、「構造改革特区」とは「実情に合わなくなった国の規制が、民間企業の経済活動や地方公共団体の事業を妨げていることがあ」るとの認識の上で、「地域を限定して改革」して「地域を活性化させることを目的として平成14(2002)年度に創設されました」。地域からの提案を国が受けるという、いわばボトムアップ型です。 17年3月30日の参議院農林水産委員会で舟山康江議員の質問に対して川上尚貴内閣府地方創生推進事務局次長が「平成十九年(2007年)から平成二十六年(2014年)までの間、計十五回にわたり、今治市、愛媛県が連名で構造改革特区での提案を行ってきております」と答弁。設置予定母体が加計学園でした。 これらは結局すべて実現しませんでした。ただ問答無用の「対応不可」から動いたかと思われた時期も。民主党政権下の2010年3月25日開催の構造改革特別区域推進本部(本部長は鳩山由紀夫首相)で決まった「政府の対応方針」で、「獣医学部の設置の認可」が「平成22年(2010年)度中を目途に速やかに検討」とランクアップしたのです。 もっとも鳩山政権は2010年6月に退陣。あとはご存じのゴタゴタ続きで、民主党は12年総選挙で野に追われました。政権を奪取した自民・公明連立政権は第2次安倍晋三内閣でスタート。現在に至ります。
■2013年 成長戦略として「国家戦略特区」導入
《12月》 「国家戦略特区」法が成立しました。構造改革特区と異なるのは、「国が定めた国家戦略特別区域において、規制改革等の施策を総合的かつ集中的に推進する」という、トップダウン型の意思決定です。計画に同意するかどうかを首相が議長を務める「国家戦略特区諮問会議」で話し合い、同意となった案件が首相の認定を待つという仕組みです。アベノミクス「第三の矢」の成長戦略の目玉として導入されました。