【JRA】2025年度事業計画の追加点を発表 不祥事対策案や北海道2場の空調新設、GⅠ賞金増額など
日本中央競馬会(JRA)は15日、2025年度の事業計画書および収支予算概要、競馬番組等を発表した。 事業計画においては、すでに取り組みが進められている「競走馬の暑熱対策」の一環として、札幌と函館競馬場における厩舎への空調設備の新設(稼働は2026年)が発表された。これにより、JRA全10場の厩舎に空調設備が整うことになる。 また、騎手によるスマートフォン持ち込み事案が多発していることに鑑み、居室の検査や入室に際した所有物の確認を強めるなど、実効性のある対策を導入する方針も明らかになった。並行して、騎手に対するメンタルヘルスケアサポートも実施される。 即PATについては、キャッシュレス決済の導入を検討する。 25年度の競馬番組は9月23日の時点で概要が発表されていたが、新たにいくつかの変更点が明らかになった。 平地GⅠでは大阪杯(現行2億円)、天皇賞・春、宝塚記念、天皇賞・秋(同2億2000万円)において、1着賞金がそれぞれ3億円に増額される。 褒賞金の増額および新設も発表された。従来は同一年に大阪杯、天皇賞・春、宝塚記念すべて優勝、または天皇賞・秋、ジャパンC、有馬記念すべて優勝した馬に内国産馬2億円、外国産馬1億円の褒賞金が交付されていた。これがそれぞれ3億円、1億5000万円に増額される。また、同一年に前記6つのGⅠのうち3競走に優勝した馬には新たに内国産馬2億円、外国産馬1億円の褒賞金が交付されることになった。重複交付はしない。 障害競走においても1着賞金がJ・GⅠ=7000万円、J・GⅡ=4500万円、J・GⅢ=3000万円に増額される。中山グランドジャンプは施行週の芝コースが従来のBからCコースへと変更されることを受けて、競走距離が4250メートルから4260メートルへと延長された。なお、中山芝Cコースにおける2000メートルのフルゲートは17頭だが、安全確保に支障はないことが騎手に確認できたため、同週に行われるGⅠ皐月賞は従来通りフルゲート18頭で行われる。 障害競走における騎手の減量対象期間は従来、平地と同様に「騎手免許取得から5年間」だったが、騎手不足への対応策として「障害初騎乗から5年間」へと変更されることになった。また、競走内容の充実を図る観点から春の福島、秋の新潟で行われていた障害競走が4大場に振り分けられる。 古馬3勝クラスにおける出走馬決定方法は、選定順位1位が現行の「4節以内の前走3着馬」から「8節以内の前走3着以内馬」に変更。また、22年11月に発表された通り、25年度から3歳春季GⅠ(桜花賞、皐月賞、NHKマイルC、オークス、ダービー)は通算の収得賞金額ではなく、「芝コースにおいて行う、中央競馬のオープン競走、1勝クラス競走およびパートⅠに定める外国の競馬の競走で獲得した収得賞金」の額によって出走馬が決定される(優先出走権を得た馬は最優先)。 宝塚記念、ジャパンC、有馬記念における地方所属馬の出走資格はオープン馬のみへと変更。下級条件に該当する地方馬の出走は不可能となった。 2回札幌の最終週が秋競馬の開幕週に重なるなど開催日程が変更されたことに加え、近年の在籍状況および秋季競馬の出走状況に鑑み、3歳未勝利戦は第4回中山競馬第5日・第4回阪神競馬第5日(25年9月15日)まで編成される。 なお、この日JRA本部にて経営委員会が開催され、2025事業年度の事業計画案および収支予算案について議決されたと発表した。支出予算総額は対前年比で102・2%の3兆4295億5652万6000円、うち発売金収支は対前年比101・5%の3兆2666万4800万円。これらの案は今後、日本中央競馬会法に定める農林水産大臣認可の手続きを経た後に確定する。
東スポ競馬編集部