佐藤愛子さんの娘と孫が語る、世にも奇妙な年賀状づくり「大まじめにふざける。それがわが家の《掟》でしょうか」
シリーズ累計178万部、佐藤愛子さんの大人気エッセイが映画化!『九十歳。何がめでたい』が6月21日から全国公開です。主演を務めるのは、2023年に90歳を迎えた草笛光子さん。エネルギッシュかつチャーミングな、等身大の佐藤愛子さんを演じます。作中には、娘・杉山響子さんと孫・桃子さんとの間で長年続いた”年賀状”を送り合うシーンも。映画では響子さんは真矢みきさん、桃子さんは藤間紫さん孫にあたる藤間爽子さんが演じています。今回は、響子さんと桃子さんが年賀状作成について語った『婦人公論』2017年7月25日号の記事を掲載します。 【写真】ブルマー姿の佐藤さんも! ****** 娘の響子さんによると、佐藤愛子さんが小説の次に大切にしているという孫との《コスプレ年賀状》。生後1歳から20年間愛子さんと登場した孫と、撮影・演出を担当した娘に、その制作秘話を聞いてみると──(撮影=大河内禎) * * * * * * * ◆企画もヘアメイクも3人で 桃子 振り返ると、20年も続いたんだね。大学2年生までこんなことやってたんだと思うと……。 響子 「孫が生まれたら年賀状に載せよう」って、おばあちゃんと話してたのよ。 桃子 大学生のときに年賀状をSNSにアップしたら、当時付き合っていた人から、「あれはやめてほしい」って言われて。「あ、うちってちょっとおかしいのかも」と思った。 響子 でもおばあちゃんは、「そんなことを言う奴はつまらん」って、一蹴してたね。「おもしろい」ということに、ものすごく価値を置く人だから。 桃子 まじめにふざけないと、おばあちゃん怒るもんね。
響子 準備だって大変だよ。8月に北海道の別荘へ行くときに撮ることも多かったから、それまでに「何をやろうか」ってテーマを決める。 桃子 小道具も用意して。当日は特殊メイクに始まり、撮影が終わるまでに4時間くらいかけてさ。 響子 100円ショップで買ってきたメイク道具で工夫しながら、お化けとか、ヤマンバギャルに仕上げる。 桃子 人が来るとみんなで逃げたよね。北海道のだだっぴろい牧草地は隠れる場所がないから、家まで走って。 響子 さすがに見られたらまずいでしょ。80を超えたばあさんが、ヤマンバギャルの格好してるんだよ。でも思春期の頃は、あんたもさすがにやる気がなかったね。 桃子 でも、おばあちゃんは赤ちゃんの格好で、「ベエベエ!」「ほら、こんなふうにするんだ!」って怒る。当時、私は演劇をやっていたから、プロ根性で乗り切ったけれど。 響子 撮り終えた後はへとへとだったよ。さらに、できあがった写真に対しても、おばあちゃんからダメ出しが入る。 桃子 「あぁ、ここで茶碗を転がしておけばよかった……」とか。 響子 私は撮影と監督を兼ねてたから、いろいろと演出もしたけど。おばあちゃんなりのこだわりがあったみたい。