「どう考えても来年の飛躍はない」2026年に向け本気のウイリアムズF1、1年を棒に振る覚悟も
ウイリアムズF1チームの代表を務めるジェームス・ボウルズは、2025年シーズンは翌年の新レギュレーションへの対応に集中するため、難しいシーズンになるだろうと自覚している。 【ギャラリー:美しきF1マシン】エイドリアン・ニューウェイが手がけた最初のチャンピオンマシン。”最強マシン”の代名詞……ウイリアムズFW14B 2026年のF1は大きなレギュレーション変更が予定されており、マシンは小型・軽量化するだけでなく、空力面も簡素化されてダウンフォース量や空気抵抗が減らされることになる。 2018年ごろから苦境に立たされ、下位チームへと転落したウイリアムズ。最近では数周のセーフティカーランだけで終了した2021年のベルギーGPでジョージ・ラッセルが2位となったのが唯一の上位フィニッシュとなっていたが、創業一家が離れてドリルトン・キャピタルがオーナーとなってからは、インフラ面が整備され、パフォーマンス面でも中団争いの一角に加わるほどには成長した。 そしてドライバーラインアップも、来季からアレクサンダー・アルボンとカルロス・サインツJr.という強力なコンビを形成。今後も飛躍に向けて俄然注目が高まっているが、ボウルズ代表は来季に向けて慎重な姿勢だ。 「アレックスもカルロスも、2025年は苦戦を強いられるということは分かっているはずだ」 ボウルズはそう語る。 「いずれにせよ、我々は前進するとは思っていない。少し後退することになるだろう」 「もし仮にそうなっても、私はそれでいいと思う。その理由としては、単に私が周囲と比べて2026年に向けて適切な投資をしているということだ。2025年は妥協する。だからといって最下位になるというわけでもないが、厳しい1年になるだろう」 昨年のウイリアムズは、コンストラクターズ選手権でアルファタウリ(現RB)を僅差で下し7位。今季は序盤戦のつまずきが響いてランキング8番手となっているが、中盤戦以降は調子を上げており、アゼルバイジャンGPではアルボンとフランコ・コラピントがダブル入賞を果たした。 「昨年7位でシーズンを終えられたのは幸運だったと思う」とボウルズは言う。 「RBは終盤恐ろしいほど速かったし、戦略的な判断ひとつでチャンピオンシップの勝敗が決まったようなものだ。それで我々は7位でフィニッシュできた」 「今年のマシンはパフォーマンス自体は良い。(序盤戦で)どれだけ重量オーバーだったか、かなり率直に話したはずだ。その重さを取り除くことで、この順位が今いるべき順位ではないことが分かっていくだろう」 「今まさに重さを軽減してパフォーマンスを発揮できるようになり、本来いるべき位置に戻ったのだ。だからこれは後退とは言えない」 ここから約1年間、2026年シーズンに向けて試行錯誤の日々が始まるウイリアムズ。ボウルズはそれこそが躍進のための最善の方法だと考えている。 「我々は飛躍を目指してやっている。小さな前進でも、少しずつの進歩でも、わずかな向上でもなく、技術的に飛躍的な進展をすることを目指しているんだ」 「そしてその過程で、失敗することもあるだろう。私としてはそれも気にしていない。なぜなら、一度学んだことは忘れられないからだ」 「残念ながら我々はほぼ間違いなく、またつまずくことになるだろう。どう考えても2025年(の飛躍)はないだろうが、それでいいと思っている。そこ(躍進)へ導くのに十分な道筋を手に入れたと思っている」 「2026年に関しては、組織に対して求めていることが我々の手に負える範疇を超えていると思う。だからこそ、うまく合わせこむ必要があるし、それができなければおそらく、やや間違った方向に行ってしまうだろう」 「私たちが組織に求めていることは、私たちが提供できる以上のものだと思う。だから、私たちはそれに合うようにしなければならないし、あるいは途中で少しつまずくかもしれない」
Benjamin Vinel, Jonathan Noble
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