亡くなった親に「生前にやっておいて欲しかった」と感じること4つ。相続、家の整理…何が特に大変だった?
【4:不用品の処分】捨てられない気持ちは分かるけど…
同じ家に何十年も住み続けると、家の中にあらゆる“モノ”が溜まっていきます。断捨離が流行り、ミニマリストを目指す人も増えてきた昨今ですが、年齢を重ねて体力が衰えてくると、モノを捨てることが段々と億劫になるもの。しかしいざ家族が他界してしまうと、遺族は大量の遺品の処分に途方に暮れる……そんな話は珍しくありません。 「家屋内が全然整理されておらず、その量に圧倒された。離れた実家の整理に時間がかかった」(64歳男性/営業・販売) 「整理整頓しておいて欲しかった。何がどこにあるのかわからず一つ一つ確認して廃棄しなければいけないのが大変だった」(49歳女性/主婦) 「できれば生前に家具類を少し処分しておいてもらいたかったです。実家住まいであるため、残されたタンスなどの使わない家具がたくさん残っていて困っていますが、時間をかけて少しずつ処分しています」(51歳男性/その他) 「空き家のままにせず、生きているうちに更地にしておいてほしかった。かなりの金額がかかったうえ、服から本から、私物に至るまでゴミに出すのも大変だった」(45歳男性/その他) 途方もない大量の遺品を目の前にすると「誰かまとめて片づけて!」と思う人も多いと思います。そういった遺品整理を請け負う業者もたくさんありますが、部屋の広さによって10万円~20万円、あるいはもっと高額の請求になる場合もあるそう。 負担を抑えられるように、遺品の買い取りで遺品整理の費用を相殺していくタイプのサービスもあるようですが、一切費用をかけたくない場合は家族で整理するしかありません。
【その他】こんな回答もありました
●特に困ったことはなかった 一方で、それほど困ったことがなかった、という回答もちらほらありました。 「何もない。すべてがパーフェクトな父」(52歳男性/技術職) 「美術品などがたくさんあったが、父に生前“これはどういうものなの?”とそれぞれ確認していたので、二束三文で処分していいものとそうでないものがハッキリわかっていて、あまり悩まずに済みました」(58歳女性/その他) 「父親が十分に準備していたので特になかった」(64歳男性/その他) 「兄達が色々してくれたのでほとんど困りませんでした」(64歳女性/総務・人事・事務) 親が生前にきちんと整理してくれていたケースの他、自分や兄弟があれこれ動いていたおかげで困らずに済んだという声も。 近年は、遺された家族に負担をかけないための「終活」や「エンディングノート」をつくろうという動きもありますが、自分が死ぬ立場だったら果たして的確に対応できるのだろうか? そう自問自答すると、とても自信がありません……。 そしてそれを子どもの立場で自分の親にお願いするのは、なんとなく気が引けるもの。なかなか一筋縄ではいかないのも、無理はないように思います。 ●もっと親孝行しておけばよかった 今回のアンケートで聞いたのは、あくまで「親にやっておいて欲しかった」ことや「聞いておけばよかった」ことでしたが、回答のなかには親との関わり方に関する後悔も多数ありました。 「孝行のしたい時分に親はなし」という言葉通り、死んでしまったら親孝行はできません。それをよく分かっていても、日々の忙しさに追われてなかなか思い通りにいかなかったり、できるかぎりのことはしたつもりでも何かしらの後悔が残ったりするケースは多いようです。 「もう少し会う機会を増やしておけば良かった」(44歳女性/その他) 「完璧な父で頼りっぱなしだった。もっと親孝行をして旅行に連れて行ってやればよかったと思います。お金も出してくれたし大学にも入れてくれた。同じことを自分の子どもにしてやろうとするのが大変です」(46歳女性/コンピュータ関連) 「海外旅行に連れて行きたかった」(67歳男性/研究・開発) 「もっと一緒にいる時間を増やすべきだった」(58歳男性/学生・フリーター) 理想の死に方として、「ピンピンコロリ」という言葉がありますが、昨日まで元気だった親が突然亡くなると、子どもは親の死を受け入れる心の準備ができていないもの。そうするとまさに「孝行のしたい時分に親はなし」の状態になりやすいともいえそうです。 なんの後悔も残さない……というのは難しいにしても、まずは普段からなるべく頻繁に会ったり話したりするなど、小さなことから始めてみるのが大切なのかもしれません。 いつ何があるかわからないのが人生。これを機会に、「親」「子」それぞれの立場で、今やっておくべきことを見つめ直してみるのはいかがですか? 【参考】 最高裁判所「司法統計年報(令和5年度版)」家事編 52表 2024/8/26参照 【お詫びと訂正 2024/9/2 11:33】 記事初出時、一部、記載内容が重複しておりました。お詫びして訂正いたします。
高山恵