1355万円の新型メルセデス・ベンツVクラスは本当に贅沢なミニバンだった! トヨタ・アルファード/ヴェルファイアとは異なる“高級感”とは?
一部改良を受けた新しいメルセデス・ベンツの「V220dエクスクルーシブ・ロング・プラチナム・スイート」は、実に贅沢だった! 小川フミオがリポートする。 【写真を見る】新型V220dエクスクルーシブ・ロング・プラチナム・スイートの全貌(23枚)ゴージャスなシートに注目!
ハンドルを握ればわかる気持ちよさ
メルセデス・ベンツ日本は、アップデートした大型ミニバンの新しいVクラスを、2024年10月1日に発表した。なかでも贅沢さを追求したプラチナム・スイートは、トヨタ「アルファード」や「ヴェルファイア」といった日本製ミニバンとは異なるテイストで、独自の気持ちよさが味わえる。 新型V220dエクスクルーシブ・ロング・プラチナム・スイートは、全長5150mmの車体を、3200mmのロングホイールベースと組み合わせている。最大の特徴は、ひとことでいって、豪華な内装だ。 3列まであるシートはすべてナッパレザーでくるまれている。最大の特長は2列目にあり、左右独立式のエクスクルーシブシートが並ぶ。 色は薄めのベージュだったが、デザインは重厚という印象が強い。シートクッションは厚く見えるし、アクセントにアルミトリムと、金属の質感をあえて見える演出も、日本製ミニバンと一線を画すテイストだ。 今回のドライブは東京から御殿場まで。主に高速走行を楽しんだ。私はVクラスとたびたび接点をもつ。海外にテストドライブへ出かけたとき、Vクラスが移動のために用意されていることが多々あるからだ。 アウトバーンといった高速道路でのリヤシートは何度も体験済みだが、あらためて自分でハンドルを握り、かつ比較的長い距離の高速走行は、久しぶりだった。 エンジンは、2.0リッター直列4気筒ディーゼルターボ。163psの最高出力と380Nmの最大トルクをもち、9段オートマチック変速機を介して後輪を駆動する。静かでパワフルと、大変良くできたエンジンで、車重2530kgの車体を気持ちよく加速させる。 最近の欧州車は、エンジンを諦めていない……と、つくづく感じさせる。燃焼効率をはじめ、設計と材質を共に見直してのフリクション低減でよく回るなど、エンジンを回したときの気持ちよさも魅力的だ。つまり、ドライブの楽しさがある。 2列目シートは、おおぶりなサイズと共に大きなアームレストを備え、リクライニングする角度も大きい。テーブル(凝ったリンクを使った開閉機構もすごい)、フットレスト、ヒーター/ベンチレーション、リラクゼーション機能も備わる。ただし前後のスライドはレバーを使っての手動。あまり動かすことはないでしょう……という判断だろうか。その通りだと思う。 Vクラスは、欧州では乗用とともに商用でも需要が大きい。なので、乗り心地は硬め。とくに2列目から後ろの席では、それを感じる場面も少なくない。 今回はエアサスペンション(AIR MATIC)を採用して、フラットな乗り心地を目指している。カーブを曲がるときも姿勢は安定していていい線いってはいるものの、やはり、操縦していると、路面の段差越えなどで、このクルマの出自を思い出してしまう。 私としては、乗り心地の良さを目指すなら、ひとつはシート地の見直しという手もあるのでは? と、思う。プラチナム・スイートのシート地は、先述のとおりレザーなのだけれど、ファブリックで試してみたい。 欧州でピープルムーバーとして使われるVクラスは、たいていレザーシート。そのほうが耐久性を有し、かつ汚れにくいからだろう。でも、パーソナルユースだったら、あえてファブリックの方が贅沢かもしれない。特に昨今は、やわらかく、肌ざわりも見た目もよい材質が多く出てきているため、ここは今後に期待したい部分だ。 乗用車的に角度の立ったステアリングホイールを握り、視線内で12.3インチの大型インフォテインメントシステム用モニターの存在をとらえ、その手前にメタリックな輝きを持つセンターコンソール、と、新しさがしっかり感じられた。 V220dエクスクルーシブ・ロング・プラチナム・スイートの価格は¥13,550,000 で、ベースとなるV220d(¥9,400,000)や、さらにサイズの大きなV220dエクストラ・ロング(¥10,200,000)の上をいく。本当に贅沢なミニバンだ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)