【ジャパンC・先手必勝】〝世界〟を知るシンエンペラーがディープインパクト以来の快挙に自信「普通が普通じゃないのが、矢作厩舎」
[GⅠジャパンカップ=2024年11月24日(日曜)3歳上、東京競馬場・芝2400メートル] 今週で秋の開催最終週を迎える東京競馬場ではこの秋一番と言ってもいいほどの注目を集めるGⅠジャパンC(24日=芝2400メートル)が行われる。天皇賞・秋快勝で復権をアピールしたドウデュースをはじめGⅠ馬7頭の強力布陣を敷く日本馬に対し、オーギュストロダン、ゴリアットら3頭の外国馬も参戦し、まさに世界が熱視線を送るビッグマッチ。だが、穴馬券を冷静に見極める当欄の網に引っかかったのはこの秋に海を渡ったシンエンペラー(牡3・矢作)だ。ホームの地で再び、世界にその名をとどろかせる――。 ドウデュースを筆頭とする国内GⅠ馬VS“ディープ産駒”オーギュストロダンら外国馬。これが今年の一般的な構図であろうが、1頭忘れてはいないか。凱旋門賞で日本の期待を背負い戦ったシンエンペラーだ。 ジャパンCが創設された1981年以降、凱旋門賞に出走した日本馬のべ32頭のうち次走で年内の国内レースを選んだのは19頭。さらにジャパンCに絞ればわずか7頭と、出走すること自体がレア。勝利は2006年のディープインパクトのみ、直近ではジャスタウェイが2着(ハープスター5着)した14年以来。本当に大丈夫なのか? 走ってみないとと前置きした上で「大目標に仕上げた凱旋門賞から続戦できるということは、力を発揮できる状態にあるということ」と話すのは、担当の吉田一成調教助手。その表情に迷いが見られないのは訳がある。それは満足のいく状態でなく「段階を踏んで立ち上げなければならなかった」という渡欧前や3歳冬の帰厩時とは明らかに違うから。凱旋門賞から1か月後の今月6日に帰厩すると、9日にウッド6ハロン82・6―37・0―11・0秒、13日には同81・2―37・1―11・0秒と好時計を連発。加減なくスムーズに乗り出せたこと自体が、同馬の体調の良さをうかがわせる。 ならばそもそも凱旋門賞へのステップであり、もちろん良化途上だった愛チャンピオンSで小差3着した事実を再評価すべきだ。タイトな競馬を強いられたアウェーで、JCでも上位人気に支持されるであろうオーギュストロダンとわずか0秒2差。現地でも凱旋門賞最有力の1頭に挙げられた事実を忘れてはなるまい。 「出遅れて、結果的には前が残る競馬。ただ、しっかり脚は使えていた(メンバー中2位の上がり33秒4)」と振り返るダービー(3着)に続く東京2400メートル戦。「まだ良くなるのは間違いないが若さも取れつつあるし、何より地の利があるのは大きい」。かつて担当馬ラヴズオンリーユーで世界を転戦し、日本馬初のBC制覇も遂げた吉田助手は、最後にレアな“凱旋門賞→ジャパンCローテ”をこう評してくれた。 「普通が普通じゃないのが、矢作厩舎ですから」 “世界”を誰よりも知るチーム・矢作が送り込むシンエンペラー。常識を覆すディープ以来の快挙こそ、矢作厩舎の3年ぶりの国内GⅠ制覇が何よりふさわしい。
東スポ競馬編集部