軽いは、楽しい。「1トンちょい越え」ライトウエイトスポーツの面白さ【マツダ ロードスター RF×アルピーヌ A110R チュリニ】
七難隠して長所をくっきり引き上げている
RFのハンドリングはやはり重量増相応のマスを感じる場面が多い。加えて2Lのパワーを受け止めるサスペンションのセットアップに、幅広かつ低扁平のタイヤの組み合わせも相まって手応えは明らかに筋肉質だ。 でもそれは、幌屋根のロードスターの走りを知っているからでもあり、幌屋根のロードスターが今日的なクルマとしては異様なまでの軽快感を備えているがためともいえる。 RFにしても先入観なく乗れば減速→旋回といった動きの繋がりや、つづら折れの切り返しなどで、現在のクルマらしからぬ身のこなしを味わえるだろう。 シートバックに開閉メカニズムが収まることによる重心バランスの変化は感じることもあるが、コーナリング中の凹凸の乗り越えで車体が揺すられたり、切り返しでお釣りが感じられるほどのレベルではない。 ちなみにロードスターに次ぐ軽さのFRスポーツとして思い浮かぶのはGR86&BRZだが、その重量は1270~1290kg。ロールセンターや重心高はRFよりも間違いなくスポーツ走行向きのセッティングになっている。 が、走ってみればその軽やかさは別物だ。もちろん重量配分云々も含めたパッケージングは重要だが、何より全体の軽さは短所を七難隠して長所をくっきりと引き上げるということがよくわかる。 やはりロードスターの最大の個性は奇跡的な軽さであり、その中でパワートレーンを使い分けることによって幌屋根とRFとのキャラクターを明確に区別している。 エンジンをしっかり回してサスペンションをしっかりストロークさせながら曲がる往年のライトウエイトオープン(ちなみに60年近く前の初期型アルファロメオ スパイダーの重量が990kg)の繊細なフィーリングを今に再現できるのが幌屋根の魅力とあらば、エンジンは非力な1.5Lという設定の方が辻褄が合っている。 RFはそこにGT的な快適性や実用性を加えつつ、ハンドリングも肩の力を抜いて心地よく愉しむという、そんな大人のゆとりが2Lのパワーによって叶えられるわけだ。