「世界のたくさんのニュースを伝えたい」渡米する女性アナウンサーの挑戦
深夜から原稿の下読みをしてニュース番組に臨む佐々木真奈美さん(東京・赤坂のTBS放送センター、山田恵介撮影)
【連載】Around 30 人生の分岐点~私はこれで生きていく~ 《第8回 フリーアナウンサー 佐々木真奈美さん(29)》 結婚、海外転勤、転職、起業…30歳が近づくと急に迎える人生の転機。そんな時に「私はこれで生きていく」という決断をした人の人生に、少しだけおじゃまさせてもらった。不定期連載でお送りするこの企画の第8回は、フリーアナウンサーの佐々木真奈美さん。先月末TBSニュースバードのキャスターを卒業した。佐々木さんはスタジオでニュースを伝えるだけではなく、現場に取材に出ることにこだわり続けた。そして来月にはアメリカに渡り、新たな挑戦が始まる。報道に対する佐々木さんの悩みや思いを語ってもらった。
午前2時に起き、午前5時の番組に備える
東京・赤坂のTBS放送センター。5月のある休日にも関わらず、報道フロアには多くの人が働いている。一人の女性が原稿を読みながら、ペンで何かを書いている。どこからどこまで一度に読むか、どこで息継ぎするか、つっかえそうな言葉はゆっくりと口になじませるように声を出している。 佐々木真奈美さん。2013年からTBSのCS放送ニュース専門チャンネル「ニュースバード」でキャスターの仕事をしている。この日は午前5時からの出番に備えて、午前2時には起きていた。
ニュースを噛み砕き、誰にでも伝わるように読む
原稿を読む練習することを「下読み」するという。楽器のチューニングに近いイメージだろうか。一語一語、一音一音、正しく音が出せているか、アクセントはどうか。意味がわかるように読めているのか。自分の声を聞きながら、そして周りで聞いている人たちの反応を見ながら、書かれているニュースを自分の中で噛み砕き、理解していく作業だ。 記者が何時間も、何日もかけて取材してきた内容を、余計なものをそぎ落として書かかれているのがニュースの原稿だ。きちんと読めばわかるようにできているが、テレビでは視聴者は原稿を読めない。ご飯を食べながらだったり、掃除をしながらだったり、でかける準備をしたり…そんな人たちにも伝わるように読む。これがアナウンサーの仕事だ。単純なようで奥が深い。