光合成をする微生物が火星表面下の“水たまり”で生存できる可能性 最新の研究が示唆
氷が溶ける期間は短くても微生物は生存しているかもしれない
地球の氷河ではシアノバクテリアや鉱物などが集まった「クリオコナイト(cryoconite)」と呼ばれる黒い色の粒子が太陽光を吸収し、氷を溶かすことで「クリオコナイトホール(cryoconite hole)」と呼ばれる水のたまった穴が形成されることが知られています。 氷の蓋で大気から隔離されたクリオコナイトホールの水たまりの中、氷点を上回る期間が1年のうち数日あれば生存できるというシアノバクテリアなどを例に、氷は必ずしも火星の1年を通して溶けている必要はなく、わずかな期間でも溶ければ微生物は生存できると研究チームは考えています。 近い将来の火星探査ミッションとしては、ドリルを使って地下2mからサンプルを採取できる欧州宇宙機関(ESA)の火星探査車「Rosalind Franklin(ロザリンド・フランクリン)」が2028年に打ち上げられる予定です。ただ、着陸予定地点のオクシア平原は北緯20度付近の低緯度にあるため、今回の研究で有望とされた中緯度の地域からは離れています。 表面に露出した氷の下にできた水たまりに生命が存在し得る可能性を示した今回の研究は、将来の火星探査ミッションを立案する上で大きな影響を与えるかもしれません。 Source NASA/JPL - Could Life Exist Below Mars Ice? NASA Study Proposes Possibilities Khuller et al. - Potential for photosynthesis on Mars within snow and ice (Communications Earth & Environment)
sorae編集部