車内プロレスや昭和の列車再現を抑え、日本一の鉄道旅行に「北陸新幹線お仕事体験」 2023年度の鉄旅オブザイヤー 「鉄道なにコレ!?」【第62回】
1つは参加者にとっての魅力度を過小評価していた点だ。審査項目には旅行のプロとしての企画性、独創性(オリジナリティー)、乗車する列車や路線の魅力度(鉄道力)、コストパフォーマンス、非鉄道ファンにとっての旅自体の魅力度(非鉄誘引力)、販売数や申し込み人数が多いかどうかの6項目があり、各項目10点ずつの60点満点で付ける。 筆者は北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーに60点満点中51点を付けており、新幹線プロレスより3点低かった。一因は非鉄誘引力の項目を7点とし、新幹線プロレスの9点より2点低くしたことだ。 というのも、北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーは鉄道ファンの子どもを主なターゲットとしており、同行する家族が鉄道に関心がなければ魅力度が限られると考えたからだ。一方、新幹線プロレスは車内でプロレス観戦ができるので非鉄誘引力が高いと評価した。 だが、鉄道好きの子どもが通常ならば立ち入れない第一線の乗務員の仕事現場を体験し、目を輝かせているのを目の当たりにしたら家族も大変満足するのは間違いない。日本旅行は「実は大人の方が体験に夢中になっている姿も見られた」と説明しており、非鉄誘引力を新幹線プロレスと同じ9点にしても良かったのではないかと振り返っている。
2点目は鉄道力の項目の過小評価だ。筆者は北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーに9点を付けており、1点減点したのは2024年3月16日の北陸新幹線金沢―敦賀(福井県敦賀市)間の延伸開業の特別企画ながら延伸区間の試乗が含まれていなかったためだ。 しかしながら、延伸区間を建設した鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)からJR西日本への引き渡しは23年12月11日で、その前に開催したツアーで試乗するのは事実上不可能だった。 関西発着の参加者の場合、北陸新幹線の延伸後に運転区間が敦賀駅までに短縮された特急「サンダーバード」を金沢駅まで利用できたことを評価すると、「鉄道力」に満点の10点を付与しても良かったと自省している。 ▽事実上の〝最終審査〟、授賞式のプレゼンテーション それらの過小評価していた点を考慮すれば、北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーの得点は54点となり、新幹線プロレスと同点だ。どちらを選ぶのかは依然悩ましいが、決定打となった可能性があるのが3点目の過小評価をした授賞式でのプレゼンテーションだ。