車内プロレスや昭和の列車再現を抑え、日本一の鉄道旅行に「北陸新幹線お仕事体験」 2023年度の鉄旅オブザイヤー 「鉄道なにコレ!?」【第62回】
審査員が授賞式に出席する場合、4つの主要部門賞の受賞者が登壇して感想を語ったり、ツアーの様子や反響を紹介したりするプレゼンテーションの様子も評価して決選投票でどの商品に票を入れるのか決める。このため、事実上の“最終審査”となる。 北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーの表彰では、日本旅行の企画担当者に加え、同社の親会社であるJR西日本のツアーを担当した運転士と車掌も登場。新幹線に乗り込む前に実施する「乗務点呼」を実演するなどツアーの様子を分かりやすく再現し、ある出席者はグランプリの結果は「プレゼンテーションの印象も強かったかと感じている」と振り返る。 ところが、筆者はアメリカに駐在中のため残念ながら授賞式に出席できなかった。授賞式のプレゼンテーションは見ておらず、選挙の「不在者投票」に当たる事前投票で新幹線プロレスに票を入れていた。 もしも授賞式に出席していた場合、迷った末に北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーに1票を投じた可能性はある。ただ、授賞式を欠席したのは筆者の都合であり、投票先を決めたのも、予想を事前に公表したのも全て筆者の責任なのは論をまたない。
▽栄冠を目指して切磋琢磨を かくしてグランプリ予想で初めての「黒星」を喫し、4連覇を果たせなかったことには残念な思いもある。それとは裏腹に、新型コロナ禍を乗り越えてプロならではの企画力を発揮した魅力的な鉄道旅行商品が次々と催行され、筆者を含めた審査員が採点に苦慮する展開はとても好ましい。 2024年は北陸新幹線延伸に加え、10月1日の東海道新幹線開業60年もあり、さまざまな記念ツアーが実施されることになりそうだ。能登半島地震で大きな被害を受けてしまった石川県などの観光を盛り上げる企画も切に望まれる。 工夫を凝らしたプランに参加者が満足し、主催者が手応えを示し、地域経済に貢献する近江商人の経営哲学「三方よし」(売り手、買い手、世間よし)を体現した鉄道旅行が次々と〝発車〟し、鉄旅オブザイヤーの栄冠を目指して切磋琢磨することを強く期待している。 ※「鉄道なにコレ!?」とは:鉄道と旅行が好きで、鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」の執筆者でもある筆者が、鉄道に関して「なにコレ!?」と驚いた体験や、意外に思われそうな話題をご紹介する連載。2019年8月に始まり、ほぼ月に1回お届けしています。ぜひご愛読ください!