物理法則を超えて家父長制と戦う?ジャンル横断映画『ポライト・ソサエティ』主演俳優に聞く
エンタメ作品で「生理」を語ること。ポップカルチャーの変化
──本作は、リーナとサリムのヘテロセクシュアルなロマンスではなく、リーナとリアの愛を描いています。ロマンティックコメディの構造を利用して姉妹の愛が試されますが、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(2019年)などと通じるような女性同士の非性的なラブストーリーを語っていると言えるかもしれません。女性同士の連帯を描く現代のシスターフッド映画をどのように感じていますか。 プリヤ:本当に素晴らしいことだと感じます。私には姉妹はいませんが、従姉妹がいます。彼女たちの存在にはとても感謝しています。強い女性は強い女性から生まれると信じています。私たちは、物語のなかに男性のまなざしを入れることなく、興味深く心に響く、そして観客が観たいと思うような女性の物語を語ることができる。シスターフッドをテーマにしたこの物語に参加できたことをとても幸運に感じています。 私は姉妹を描いた映画を見るのが大好き。『アナと雪の女王』(2013年)は姉妹を題材にした映画としては史上最大のヒットとなりましたよね。それだけみんなシスターフッドの映画を観るのが好きだということじゃないかと思います(笑)。 ──本作では、リーナがサリムの家で生理を迎えて気まずい思いを抱いたあと、それについてラヒーラとオープンに会話する場面がありますね。これまで生理はしばしば恐怖や嘲笑の対象として描写されてきましたが、同じくアジア系移民の怒りや世代間の対立を描いた『私ときどきレッサーパンダ』(2022年)も生理をタブー視せずにどう対処するか比喩を用いて語っていたことが思い出されます。ポップカルチャーの変化を感じますか。 プリヤ:おっしゃるように、ポップカルチャーの変化を感じます。これまで恥ずべきこととして、女性たちに汚名を着せられてきたようなことを、進んで語れば語るほど――映画やテレビ、メディア全般で女性たちが会話の最前線に立てば立つほど、生理のことが話題に上る機会がどんどん増え、変化が生まれてくるのだと思います。 生理は、女性がオープンに話すのが許されないことでした。でも、それ(生理)が存在しているのが私の人生です。呼吸をして、食べて、睡眠をするのと同じように、生理もある。普通の生活の一部なのに、なぜ話すことが許されないのかとずっと不思議に感じていました。でも、いまは生理について話すことは恥ずかしくないことだと気づいたし、このトピックがいかに多くの人にとって親近感のあるものか実感しています。 女性だけでなく男性たちも、ガールフレンドや母親、姉妹など周りの女性たちが同じような経験を毎日しているということを、理解を深められると思います。そうなっていくと、反発も少なくなっていきますよね。ニダは、ピリオドリプレゼンテーション(生理の表現)を楽しむことができるのだと主張していました。ピリオドリプレゼンテーションをこれからも続けていきましょう! ※以下、作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。