国学院大・駒沢大・青山学院大、「3強」エースのアツすぎる前哨戦…最終決戦は箱根路へ
その差4秒。17・6キロを走り、2人は全くの同タイム。まさにがっぷり四つ。エースとエースの譲れない意地がほとばしる、しびれるような名勝負だった。
駒沢大・篠原倖太朗「つめるしかない」
ところが、驚いたことに、彼らは区間賞をつかめなかった。2人をしのぐ走りをしたのが、駒大主将の篠原だった。2区で16位と出遅れた駒大は、6区を終えた時点でトップ青学大から2分47秒差の5位。しかし、5連覇がかかっていた大エースは、まだまだ闘志にあふれていた。
「もう前とつめるしかない。少なくともメダル圏内に押し込む」。OB田沢廉(トヨタ自動車)の区間記録も意識しながら、見えないトップ争いを上回るスピードで突っ込んだ。城西大、創価大を抜き去って3位へ浮上。太田と平林を10秒上回り、山川拓馬(3年)にたすきをつないだ。
田沢の区間記録には19秒及ばなかったが、この猛追を引き継いだ山川は、青学大との2分37秒差を逆転。トップ国学院大にも28秒差まで迫った。まさにチームを生き返らせた、主将篠原の激走だった。
歓喜、涙、決意
レース後、最も感情をあらわにしたのが平林だった。国学院大の前田康弘監督に泣きながら電話をかけ、心から悔しがった。
「駅伝には勝ったけど、自分の中の勝負には負けた。記録でも篠原に負けるダブルパンチを食らった。でも日本一のうれし涙も流れていた」。平林の胸中には、チームが頂点に立った喜びと、自身の走りへの不満と悔恨が、ぐるぐると渦巻いていたようだ。
チームが3位に沈んだ太田は「僕も含めて4年生が物足りなかった。箱根は絶対優勝したいので、チーム一丸で、より上を目指すしかない」。箱根では驚異的な調整力を発揮する青学大のエースとして、決意を新たにしていた。
また、出雲での涙を逆襲への力にした篠原は「箱根で勝つしかない。平林君とは1勝1敗。太田君は箱根では本当に強い。そこを頭にいれてやっていく」と口元を引き締めた。
出雲6区では、平林の区間賞に対し、太田と篠原が同タイムの区間3位。全日本7区では、篠原の区間賞に対し、平林と太田が同タイムの区間2位。不思議な因縁で結ばれた3強の3エースは、決戦の箱根で、どんな結末を見せてくれるだろうか。