国学院大・駒沢大・青山学院大、「3強」エースのアツすぎる前哨戦…最終決戦は箱根路へ
初優勝を遂げた国学院大が、史上6校目の大学駅伝3冠への挑戦権をつかんだ3日の全日本大学駅伝。2位駒大、3位青学大と、出雲駅伝と全く同じ大学が上位を占める中、その「3強」のエースがプライドをかけてぶつかり合ったのが、終盤の勝負区間7区だった。(編集委員 近藤雄二)
青学大・太田蒼生「1分差を作る」
緑のたすきをかけると青学大の太田蒼生(4年)は、17・6キロのエース区間7区へ、はじけるように飛び出した。その直前、6区白石光星(同)の背後には後続が迫るのが見えた。自分が勝負をつける。強い思いを込めたダッシュだった。
その差4秒。追うは国学院大のエース平林清澄(同)だ。出雲では、駒大主将でスピードランナーの篠原倖太朗(同)とのアンカー勝負を制していた。すぐに追いつき、並走が始まるかと思われた。
しかし、2人の差は縮まらない。それどころか「優勝のため、自分が1分差を作る」と決意した太田が、ぐんぐん平林を引き離す。10秒、15秒。100メートルほどまで差が広がった。
今年1月の箱根駅伝。3区(21・4キロ)に起用された太田は、日本人で初めて1時間の壁を破る59分47秒の快記録をマーク。出場全選手で1万メートル最速タイムを持っていた駒大の佐藤圭汰(現3年)との22秒差を逆転、さらに突き放す爆走で勝利への流れを作った。
国学院大・平林清澄「地の利は自分に」
その再現かと思われた。しかし、10キロ過ぎ。苦しげに口を開ける太田に、すまし顔の平林が逆襲を始める。平林は、今年2月の大阪マラソンを2時間6分18秒の初マラソン日本最高で制したスタミナ自慢。7区には4年連続の登板で「地の利は自分にある」。10秒、5秒。起伏あるコースで、じわじわと差をつめる。
そして15キロ手前。ついに太田を捉えると前に出た。しかし、今度は太田が耐える。平林の背後につくと、しばし息を整え、残り2キロを切って再スパート。平林も粘るが、サングラスを頭へずらした太田は、ラストの切れでは一枚上。1秒また1秒。平林との差を広げ、中継点へ飛び込んだ。次いで平林もたすきを渡し、共に路上へ倒れ込んだ。