年収1千万円は時給にするといくら…?経済評論家・山崎元さんが息子に残した「人材価値」を高める発想法
早く「転職できる人材」になる
例えば、現在、新技術としてAI(人工知能)が注目されている。知的な専門職でも、数年後にはAIに代替されて廃れてしまうものが生じる可能性がある。就職して2年後くらいまでには、仕事の基礎を身につけた「転職できる人材」になっておきたい。 今の段階では分からなくとも、2年後には先が見通せる職業があるはずだ。職種転換には若い方がいい。 かつても、これからも、人材価値向上のために自分に投資することの意義と重要性は変わらない。 自分が投資するものは、時間・努力・お金の3つだ。そして、投資で得ようとする対象は、(1)知識、(2)スキル、(3)経験、(4)人間関係、(5)時間、である。 仕事で差をつけることができる「知識」、仕事の能力向上につながる「スキル」の獲得には、継続的な努力が必要なのが普通だ。自分流の勉強の仕方(先端の論文を読む、など)や技術の吸収の仕方(先輩から学ぶ、など)を工夫せよ。 自己投資というと、すぐに社会人大学院のような教育機関に期待しようとする人が多いが、しばしば疑問に感じる。教えている内容は「誰でも知りうる知識やノウハウ」が多いし、無駄な時間が少なくない。また、残念ながら、国内MBAの履歴書上の価値は高くない。下手をすると履歴書上で、「この人は、会社の仕事が暇で、職場に不満のあった人だろう」という程度に解釈される可能性さえある。 自己投資に多く必要なのは時間だ。例えば職住近接の住居にお金をかけて勉強や人付き合いの時間を増やすなど、「時間を買う」ことが有効な自己投資になり得る場合がある。
年収1千万円は時給5000円
自分の時間にも、相手の時間にも、経済価値があることを意識するべきだ。例えば、年間250日、1日に8時間働くとして、年収1千万円なら時給は5000円、2千万円なら1万円だ。 そして、実際に仕事に使える時間の価値は、たぶんこれよりもかなり高い。
山崎 元(経済評論家)