年収1千万円は時給にするといくら…?経済評論家・山崎元さんが息子に残した「人材価値」を高める発想法
2024年1月1日、経済評論家の山崎元さんが食道がんのため逝去されました。1年が経ち、山崎さんが書き下ろした最後の一冊『経済評論家の父から息子への手紙』(Gakken)は、「人生のマニュアル」として多くの反響を呼んでいます。本書の中で山崎さんはこれからの働き方、そしてお金の稼ぎ方についてアドバイスを送っています。どのような仕事に就くか、自分の価値をどうやって高めていくかの発想法を、本書より特別にお届けします。 【写真】PayPay、楽天、メルカリでポイント運用をしてみたら…その意外な結果 働く上での大きな考え方として、自分の「人材価値」を育て、守り、活かすことを中心にするといい。これはこれからの時代でも有効であり続ける考え方だろう。 かつてであれば、組織に帰属していることが頼りとなったが、これからの時代はそれだけでは心もとないし、不利でもある。 人材価値は、仕事の「能力」と、能力を実際に仕事に使った「実績」とで評価されて、これに、今後の「持ち時間」が加味される。数式にすると次のようになる。 人材価値=(能力+実績)×持ち時間 知識や資格など仕事の能力があっても、実際に仕事に使ったことがなければ人材として十分評価されない。能力の獲得にも、仕事の実績作りにも「時間」が必要だ。時間が関わると、プランニングが必要になり、有効にもなる。 そして、同じ能力・実績の人であれば、より若くてこれから能力を使える「持ち時間」の長い人の方が人材価値は高い。歳を取ることは、ビジネスパーソンにとってつらいことなのだ。 ちなみに、非常によく頑張っている人の場合で、人材価値のピークはだいたい35歳くらいに訪れる。 自分の適職は、多くの場合、実際に働いてみないと分からない。職業選択は一種の出会いの経験だ。まず、時間を使って夢中になることができるような興味を持てる仕事か、次に、自分の倫理観に反しない仕事か、の2点で仕事を選んで働いてみよう。合わなければ転職するといい。 興味を持って面白いと思える仕事でないと、ライバルに勝つための努力が続かない。これは競争上決定的に不利だ。 また、自分の倫理観に反する仕事は、いざという時に頑張りが利かない。例えば、個人向けの証券営業の仕事を、「工夫すると数字が上がる仕事で、世の中のためにもなっている」と感じる人もいれば、「数字を上げるために噓をついているようで嫌な仕事だ」と思う人もいる。さて、君はどんな仕事を選ぶのだろうか。いい仕事に出会えるといいな。