《ネギたくあん食べ放題》でまさかのファン爆増「ラーメン魁力屋」業績が絶好調の理由…ラーメン不況にも負けない「オンリーワン戦略」とは
「ネギとたくあんを食べに行く店」
まず1つ目が、独自のメニュー構成による「オンリーワン戦略」の展開だ。 「『魁力屋』が提供する京都背脂醤油ラーメン自体は、良く言えば幅広いお客さんに受け入れられる、悪く言えばずば抜けた魅力はないラーメンです。しかし、個性が強すぎるラーメンというのは、どうしても市場が限定されてしまうものです。 その点、『魁力屋』が際立ったのが、ベースとなるラーメンに対して、注文時に麺の細さと固さ・背脂の量・ネギの量を指定できるようにする、いわば『ラーメンのカスタマイズ化』です。 若い人なら背脂やネギをどっさり盛り、一方で高齢の人なら背脂抜きを注文する。その独自のメニュー構成によって、差別化が図れ、結果的にファンとなる客が増えたのです」 トッピングだけではない。たとえば無料で「たくあん食べ放題」というのも、「魁力屋」ファンにとっては魅力の一つ。ラーメンの到着を待つ間に、ビール片手につまむもよし。一緒に注文したライスと一緒に食べるもよし。ファンの中には「『魁力屋はネギとたくあんを食べに行く店」と豪語する人もいるほどだ。 また、京都発祥のチェーン店らしく、焼きめしや唐揚げ、餃子などサイドメニューが充実しているのも「魁力屋」の特徴の一つ。中村氏によれば、カスタマイズできるラーメンで客を吸引しつつ、比較的粗利益が高いサイドメニューで利益を稼ぐ。このスタイルも安定した経営につながる要素だという。
強固なつながりを持つ「のれん分け」
2つ目は多様な店舗タイプを有している点だ。主軸を担っているのは郊外のロードサイド店。こちらは10台以上の駐車スペースを確保し、カウンター13席とテーブル5卓・30席の合計43席を基本とした大型店舗となっている。 これ以外にも商業施設内のフードコート店、駅前ビルインなど様々。また最近では、コンビニの居抜きやラーメン屋の撤退物件を活用するなど、柔軟かつ効果的に出店しているのも「魁力屋」の強みと言える。 そして3つ目が多面的な運営形態だ。前出の中村氏はこう語る。 「よく『魁力屋』のラーメンは、同じくチェーンの『来来亭』に似ていると言う人がいますが、それもそのはず、『来来亭』から独立して生まれたのが『魁力屋』。両チェーンに共通するのは社員独立制度、いわゆる『のれん分け』制度が充実しているという点です。 そのため『魁力屋』は、FC加盟店や独立店による出店体制や本部と店舗のネットワークが、他チェーンと比べてきわめて強固なものになっています。本部が掲げた経営目的と目標を、利益の源泉である店舗がしっかりと理解した上で、愚直なまでに実行している。これこそが、堅実な成長を生む原動力というわけです」 2005年に創業し、昨年12月に東証スタンダード市場へ上場、そして来年で20周年の節目を迎える「魁力屋」。ラーメン業界の勢力地図は、今まさに塗り替えられつつあるのかもしれない。 【こちらも読む】『魁力屋「強制ニンニクマシマシ」な一杯にラーメン女子が悶絶…!ジロリアンも納得「にんにく背脂漆黒醤油らーめん」を食べてみた』
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)