カープが“競合覚悟”で「宗山塁1位指名」を公表のワケは? ドラフト直前…本人が語った「ショートのポジションにはこだわりたい」の決意
バッティングは「変幻自在」「多様性豊か」
宗山塁のバッティングは、ひと言で表現すれば、シュアな広角打法。 それも場面によって必要なことを感じ取って、進塁打を心掛けたり、相手野手のいない所へタイムリーを弾き返したり、無死ランナーなしのような場面では「ホームラン狙い」のような強引なほどのフルスイングを見せることもあって、もっと言えば「変幻自在、多様性豊かなバッティング」ともいえる。 宗山選手のバッティングで感心するのはファールの打ち方の上手さだ。 最初からファールにしようとして合わせにいくファールじゃない。「パチン!」と力点を作って打ちにいきながら、話の中に出てきた「際どいボール」をファールにできる。それも左打席から、ファールはほぼ全てが三塁側へのファールだ。 「バックネットに飛ぶファールが、タイミングが合ってるとか、よく言われますけど、自分としては、詰まったり、タイミング外された時のほうがずっと多い。タイミングが合ってれば自然と前に飛びますから。僕はボールを呼び込んでお腹の前で捉えたいほうなんで、いい時は顔が三塁側を向いた状態でインパクトできる。なので、顔の向き(三塁側)にファールが飛んでいれば、状態がいい証拠なんです」 バッティングに関しての「自己分析」にも宗山塁、いたって理路整然、まったく崩れがなかった。 プロ志望の大学4年生が、なぜか今まで通りのプレーができなくなりがちな最後の秋のリーグ戦。 結果を出したい。評価を上げたい。もしくは、下げたくない。さまざまな「雑念」が交錯して、自分で自分のプレーをかき乱してしまいがちな「秋」に、明治大・宗山塁は、さらにバッティングの次元を高めているように見える。
指名公表後も「気負いはなし」の精神力
リーグ戦初戦の東京大戦の最終回にホームランを放つと、慶應義塾大戦でも3ランを飛ばして、前半の9月5試合を18打数6安打7打点、打率.333で折り返すと、10月の3試合(10月16日現在)を15打数9安打3打点の打率なんと.600と猛打を振るっている。 そして10月の3試合、これはすべて10月11日に広島カープが「明治大・宗山塁、1位指名入札表明」のあとでの猛打である。 普通なら気負うなり、力むなり、注目されている意識が過剰になったり、いずれにしても、「負の揺れ方」がありそうなこのタイミングで、まるで何か心配事が解消されて、スッと体が軽くなったように猛威を振るい始めた宗山塁選手。 こじつけるわけではまったくないが、カープとの「ご縁」が間違いなく彼にとってプラスに作用していることを考えたら、他球団の「横やり」は本人の幸せのために、ご遠慮いただいたほうが……。そんなことを、勝手に考え始めている「ドラフト直前」ではある。
(「マスクの窓から野球を見れば」安倍昌彦 = 文)
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