センバツ2022 丹生、夏へ再始動 「初の聖地」通過点に /福井
第94回選抜高校野球大会に、県勢初の21世紀枠で出場した丹生。同校にとっても初の甲子園での試合となった広島商との1回戦は全国レベルとの力の差を痛感する結果となったが、攻撃面では練習の成果もあり強豪相手に7点を奪って見せ場もつくった。甲子園の“空気”を経験した選手らは、またあの大舞台に戻ってプレーしようと、夏の大会に向けて早速練習を再開している。【大原翔】 ◇冬場鍛えた打撃に手応え 1回戦の翌日に地元に戻り、翌25日から通常の練習を再開した丹生。冬場は積もった雪の影響で使えなかったグラウンドに、リラックスした表情で練習に汗を流す選手らの姿があった。 広島商戦では、投手の制球の乱れや守備のミスが重なり、大量失点につながった。今冬は特に雪が断続的に降ったため、2月に屋外で練習できたのはたったの2回。今月に入っても7日からしかできなかった。それまで室内で守備練習に励んだが、それをセンバツまでの短い期間での屋外練習では実戦的なレベルまで高められなかった。 また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2~3月に約2週間練習ができなかったこともあだに。開幕予定日の18日が目前に迫る中、選手らは休校期間中の遅れを取り戻そうと、調整を急いだ。春木竜一監督は「万全なコンディションで臨ませてやれなかった」と悔やむ。来田竹竜(たける)主将(3年)は「持ち味の粘り強さを出せなかった」と話す一方、「打球が飛んでくる前にイメージを持って1歩目を動き出せば、練習で得た力は甲子園でも出せると実感した」と振り返る。 攻撃面では収穫も。この冬、春木監督は相手投手のモーションに応じた打撃時のタイミングの取り方やスイングの軌道を、選手らを個別に指導するなどして、徹底的にたたき込んだ。広島商戦では、昨秋の公式戦で成績が残せなかった選手らが安打を重ね、一時は逆転もした。来田主将は「ボール球に手を出さず、ストライクを狙ってきた球を見極めて素直に打つという監督の指導を生かせた」といい、春木監督も「打撃は十分通用した」と手応えを口にする。 聖地を初めて体験し、春木監督は「最後まで攻める姿勢を見せたことを地域の人や学校の人たちは評価してくれたが、勝負になる試合をしたかった。この経験を通過点にしなければいけない」と語る。特に守備は重点的に鍛え直す覚悟だ。「10プレーのうち失策を1にとどめる、など具体的な数値目標を設け、正確にプレーする意識を植え付けたい。投手陣も一から競争させる」と話していた。