米予選会→帰国→即プロテストに挑む選手も 初挑戦の長野未祈は満身創痍も「そのなかでベストを尽くす」
<JLPGA最終プロテスト 事前情報◇28日◇大洗ゴルフ倶楽部(茨城県)◇6602ヤード・パー72> プロテスト合格直後…19歳の渋野日向子さんが初々しい【写真】 先週22~25日に行われた来季の米国女子ツアー出場権を争う2次予選会に参加したなかに、すぐさま今週の最終プロテストを受験する選手がいる。そのひとりが長野未祈(みのり)だ。 2000年12月29日生まれで現在23歳の長野は、今季、米国女子下部のエプソン・ツアーを主戦場に戦ってきた。ツアー生活と並行して、日本のプロテストでも2度の予選会を突破。この最終にたどり着いた。今回が初の受験となるが、その表情は決して晴れやかとは言えない。 理由は右足の故障。前部をしびれと痛みが襲い、先週の予選会は2ラウンドを終え棄権した。「練習ラウンドから歩けず、向こうで病院にも行きました。QT(予選会)だったので出たんですけど、やっぱりダメで。今週もどうなるか」。もともとシーズン中から右ヒザや股関節の故障を抱えていたが、それをかばっているうちに他にも悪影響が出てしまった。 予選会も痛み止めを服用しながらプレーし、不安は拭えない。最終テスト開始前日は「きょうしか回れないので」と18ホールをプレーしたが、ラウンドを終えるとケアをしてもらうため東京へ向かうなど満身創痍のなかの強行出場となる。「頑張るしかない。なるようになる」。こう自分を鼓舞して、あすのティへと向かっていく。 長野が脚光を浴びたのが、15歳の時に出場した2016年の「日本女子オープン」。3日目を終え単独首位に立つなど活躍を見せた。千葉県にある麗澤高卒業後に渡米。当初入学した2年制の大学から22年の夏にオレゴン大に編入し、カレッジゴルフで腕を磨いてきた。文武両道の生活を送ってきたが、今年大学を卒業。「今は毎日、練習やトレーニングもできて、24時間ゴルフのことを考えてやっていますね」。ツアープロの生活も充実している。それだけに来年の“職場”がかかった戦いを前に発症したケガに悔しさはあるが、「そのなかでもベストを尽くそう」と前を向き、合格へ集中力を研ぎ澄ます。 そしてもうひとりが、山口すず夏。かつて米国女子ツアーでプレーした24歳は、返り咲きを目指し先週の予選会を突破。12月5~9日に米アラバマ州で開かれる最終予選会への進出を決めた。帰国したのはプロテスト2日前の27日(日)夕方だが、「体調はいまのところ問題ないです」と28日には長野らとともに18ホールの調整も行った。 これが3度目の最終プロテスト挑戦になるが、「意識している試合ですし緊張もすると思うけど、今、自分が持っている力を発揮するだけ」と、人事を尽くし天命を待つ。「(先週の予選会は)プレッシャーがかかる最終日にアンダーを出せたり収穫はあった。疲れがないといったらウソになる。集中力を切らさずにいけるかが勝負所かなと思います」。こうして日本ツアーへの参戦権をつかむつもりだ。 「欲は出さずに。アメリカでのプレーは一回忘れる。体調や調子など自分と会話しながらやれば、いいところにいけると思う。気持ちをコントロールしながらやっていきたい」。最終的には、米国女子ツアーで活躍する姿をイメージするが、今週は合格することにすべての力を費やしていく。(文・間宮輝憲)