優秀な上司でも「性格が原因で降格」が急増のナゼ これから「仕事できる」定義が激変する深刻背景
そのため、いくら仕事ができても部下を辞めさせる社員は会社にとっていちばんの痛手となることを引き起こすため、厳しい処分が下されるケースが増えています。 そして、部下を辞めさせる社員の典型例が「部下にきつい社員」なのです。 内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、2010年には8103万人だった15~64歳までの生産年齢人口(国内で行われている生産活動に就いている中核の労働力となる年齢の人口)は、2020年には7509万人、2030年には6875万人、2040年には5978万人、2050年には5275万人まで減ると見込まれています。
そのため、今後ますます人手不足は深刻になると予想されます。 そうなればなるほど、部下を辞めさせるきつい上司は、高い評価を受けられなくなるでしょう。そして、場合によっては厳しい処分を受けることにもなるでしょう。 私のこれまでの経験上、部下にきつい上司にはある傾向が見てとれます。 それが「仕事ができる」ということです。 仕事ができる人は仕事に求める水準が高く、その水準を部下にも求めます。 「ここまでやって当然でしょ」「普通こういう対応をするだろ」と思うレベルが高く、そのレベルの対応ができていないと部下に対して怒りがわきます。
仕事に求める水準が高くない人と比べると、部下に対して怒りがわく確率がずいぶん高いわけです。 そこでその怒りを制御できないときつく当たってしまうのです。 仕事で高い水準を求めることは、決して悪いことではありません。ただ、それが原因で部下にきつく当たることが問題なのです。 そしてそれは自分の評価を下げることになります。 そのため、仕事ができる人ほど普段から「要求水準の高さが自分を感情的にする」と意識し、「怒りを制御する力」を高めることをより一層心掛けていただければと思います。
■これからの時代に求められる必須スキルとは いつの時代もその時代の流れに応じたスキルを身に付けることが求められます。 パソコンが普及してからは、パソコンのスキルは多くの業界で当たり前のように求められ、パソコンが使えないと高い評価を受けられなくなりました。 同様に、人手不足の時代においては部下の離職を防ぐことが強く求められる以上、「部下に強いストレスを与えないコミュニケーションスキル」は必須のスキルだと言えます。
今後も高い評価を受け続けるためにも、ぜひこのスキルを磨いていっていただければと思います。
藤田 耕司 :経営心理士、税理士、心理カウンセラー