優秀な上司でも「性格が原因で降格」が急増のナゼ これから「仕事できる」定義が激変する深刻背景
また、部下に過剰な圧を与える人もいます。 「これ今日中に終わらせて」「あと何分で終わる?」「まだ?」「まだ終わらないの?」「あとこれも今日中に終わらせて」 Web制作の会社に就職したK氏は、上司からこういったチャットが1時間に何度も飛んでくる状況に強いストレスを覚え、精神的に耐えきれずに退職しました。 「その上司はとにかく仕事が速い人で、そのペースで仕事を振ってくるので、ついていくのに必死でした。一方的な指示と急かすチャットが送られてくるので、精神的に追い詰められてました。あのチャットは夢にも出ました。もはやトラウマですね」
仕事が速い人が自分のペースで仕事を進めようとすると、こういった状況を作ってしまいがちです。 また、せっかちな人は部下の仕事が終わるのを待てずに次の指示を出し、さらなるプレッシャーを与えます。 それが部下にとっては過剰な負担となり、精神的に限界を迎えると離職に至ります。 ■部下にきつい人の評価が変わりつつある 私は経営心理士として人間心理に基づく経営コンサルティングを行っています。 私がコンサルティングに入った現場で問題となっていた「複数の部下を辞めさせる上司」は、その多くがきつい言葉を使う人か、言い方がきつい人、過剰な圧を与える人でした。
ただ、そういった人でも、仕事ができる人は高い評価を受けていました。 なぜなら、人事評価基準が「個人の業務の成果」を重視するものだったからです。 しかし、その状況が今、変わりつつあります。 ある運送業の会社では、執行役員を降格させました。 その理由はその人の部下に対する当たりがきつく、それが原因で複数の部下が辞めたためです。 また、ある建設関連業の会社では営業部長が新人の態度に腹を立てて叱ったところ、新人が出社しなくなり、そのまま退職しました。
その責任を問われ、営業部長は降格となりました。 執行役員や営業部長に上りつめるほど優秀な方でも、社員の離職が原因で降格となったわけです。 その背景には深刻な人手不足があります。 ■人手不足の会社でいちばんの問題は人が辞めること 今、深刻な人手不足に陥る会社が続々と増え、人手不足が原因の倒産は過去最多を更新し続けています。 これ以上社員が辞めたら現場が回らなくなる。 そういった会社でいちばんの痛手となること、それは「人が辞めること」です。