「大阪のみなさんの食卓にも合います」秋田の地酒利き酒会
「大阪のみなさんの食卓にも合います」秋田の地酒利き酒会
日本酒の美味しい秋の気配が深まる中、秋田県が大阪市内のホテルで秋田の地酒と料理を提案するプレスセミナーを開催した。セミナーに続き、同酒造組合が利き酒会を開き、関西の酒販店や飲食関係者に秋田の酒の魅力を売り込んだ。灘や伏見の酒どころを擁する関西・大阪では、これまで東北秋田の地酒は縁が薄かった分だけ、新たな可能性を秘めているといえそうだ。 【拡大写真付き】名酒発掘に努める「地酒の達人」 利き酒勧める八尾の酒店店主
いぶりがっこで秋田の地酒を試飲
プレスセミナーと利き酒会は昨年に続き、2回目。セミナー開始と同時に「なまはげ」が乱入し、会場内を暴れ回って秋田情緒を演出した。 秋田の酒事情に詳しいジャーナリストの山本洋子さんが、秋田の酒造りの特色などを報告。秋田には37の酒蔵があり、日本酒出荷量は東北1位、全国でも4位。創業100年以上の老舗酒蔵が多く、最高は500年を超える歴史を刻む。一方で、伝統に甘んじることなく、複数の酒蔵が連携して新たな酒造りに挑む先駆性を併せ持つ。ジーンズメーカーや建築家とコラボするなど、個性的な実力派がそろっているという。 秋田名産の食材を使用した比内地鶏の丸焼き、いぶりがっこ(ダイコンの漬物)のカルパッチョ、ハタハタ寿司で、秋田の地酒3種類を試飲した。「新政No.6」(新政酒造)は、きりりと深い辛口。「刈穂 純米吟醸 秋カワセミ」(刈穂酒造)はまろやかな辛口で、ふくよかな香りが心地よい。 「大平山 生もと純米 神月」(小玉醸造)を、燗(かん)酒で薦められた。世界遺産の白神山地から湧き出る水で仕込む。小玉真一郎社長は「ミネラル分の少ない軟水で酵母の働きを抑えてゆっくり発酵が進むため、滑らかな口当たりの仕上がりに。お燗をすると滑らかさが引き立ち、いろんな料理との相性がいいので、大阪の皆さんにもゆったり楽しんでいただけます」と話した。
秋田の個性派地酒25銘柄が勢ぞろい
プレスセミナーに続く利き酒会には、25の銘柄が勢ぞろい。酒販店や外食関係者らが、隠れた名品を求めて真剣な表情で試飲を繰り返す。商談会を兼ねているため、顧客への提案方法などを巡り、意見交換も活発だ。 「爛漫 純米大吟醸 唐獅子」(秋田銘醸)を口に含むと、コクのある余韻が広がっていく。空港内で販売したところ、日本みやげに購入する外国人旅行客が相次いだという。担当者は「ボディがしっかりしているところが、支持されたのでは」と分析。高級ワインの世界につながるようだ。試飲した女性は「とても飲みやすい。私好みのお酒ですね」と、上々の評価をしていた。
酒造組合によると、秋田の酒の大阪での市場は10年前と比べて270%に成長。関西では灘や伏見で大手による酒造りが盛んなため、秋田勢の進出が難しかったが、近年は大阪でも人気が高まり、本格的な需要拡大へ意気込む。秋田の地酒は大阪市内の百貨店などで販売している。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)