職業モデル不在 全員が素人 写真集「JAPANESE DANDY」に刻まれた男の生き様
「全員が素人なのにものすごく素敵に写っている……」ちょっと気を使えばみんなこうなれるという。本が売れないこの時代に1万円もする写真集「JAPANESE DANDY(ジャパニーズ ダンディ)」(万来舎)は1700部を売り切った。仕掛け人はフラワーコーディネーターでファッション書籍プロデューサーの河合正人氏。撮影は故・尾崎豊さんなどミュージシャンの写真で知られる写真家の大川直人氏が担当。日本国内のみならず、200年を超える歴史を持つ老舗・紳士服テーラー、英ロンドンのヘンリー・プールから店頭に置いて売りたいとの申し出もあったという。 「ダンディ」は西洋では死語 写真集名を「JAPANESE DANDY」にした理由 そして今年5月、約2年半ぶりの続編として「JAPANESE DANDY Monochrome(ジャパニーズ ダンディ モノクローム)」発売された。単にオシャレなだけではない。美意識の向こう側に人の本質が透けて見える、一枚の写真に刻まれた男の生き様を一部紹介しよう。
吉田大朋氏 JAPANESE DANDY Monochrome
日本人で初めてフランスのファッション誌「ELLE」と専属契約を結び、ファッション写真家として一世を風靡。「JAPANESE DANDY」を見て自ら被写体となりたくなり、モノクロームに登場。上機嫌で撮影に臨んだその夜、都内の自宅で死去したという。
沼田隆一氏 JAPANESE DANDY Monochrome
元国連開発計画開発担当官で国際関係コンサルタント。乗馬が趣味で、数頭の馬主でもある。服から馬具まで、全身エルメスでカメラの前に立った。
畑埜佐武郎氏 JAPANESE DANDY
1960年代、イタリアン・ファッションの先駆けであるエドワーズを率い、ヤングメーカーのリーダー的存在となった。NHKが「JAPANESE DANDY」を取材した際、ある母娘が写真集の中で誰がいいかを決めたところ、母親も女子高生の娘も畑埜氏で一致したという。
関根恵一氏 JAPANESE DANDY
40年前のKentのジャケットを着こなす。河合氏はあるパーティーで関根氏のこのスタイルを見て一目惚れ、ぜひこれで出て欲しいとリクエストしたそうだ。
佐藤満氏 JAPANESE DANDY
河合氏が街でスカウトした。そのときはきれいなブルーのコート姿だったそうだが、写真集にはオレンジのコートで登場。まさに色を着こなしている。 (文・志和浩司)