牧草地の地滑り、牛舎への道が崩落… 地震と豪雨、生業が再びの被災「元に戻ってしまった」
能登半島を襲った9月21日の豪雨では、石川県輪島市・珠洲市、能登町で甚大な被害が発生しました。生活の基盤である生業(なりわい)にもさまざまな影響が出ています。正月に発生した地震から9カ月、ようやく復興に向けて進んでいた牧場でも、一時孤立化するなどふたたび被害を受けてしまいました。(木村充慶) 【画像】地滑りした牧草地、復旧にあたるボランティア 豪雨に襲われた能登半島地震の被災地
豪雨でも地滑りが発生
都内でミルクスタンドを運営する筆者は、地震で大きな被害を受けた牧場を支援しています。 被災直後に訪ねた牧場でも、今回の豪雨でまた大きな被害を受けてしまったところがありました。 豪雨被害の1週間後の9月28日ごろ、能登町にある西出牧場を訪れました。地震で牧草地が地割れを起こしてしまった牧場です。 西出牧場の西出穣さんによると、豪雨はとても激しいものだったそうです。 そのため、牧草地の一部の地面が滑り落ち、地面に埋まっていた配管なども壊れてしまいました。 「過去にも大雨で牧草地が崩れたことはありましたが、同時に複数の場所で崩落や地滑りが起きたのは初めてです。地震でできた地割れの復旧工事も始まっていない中で起きた大雨だったので、地割れに水が染み込み被害が拡大したものではないでしょうか」と話します。
豪雨で1週間以上孤立した牛舎
地震でも甚大な被害を受けた、珠洲市の山奥にある「松田牧場」は、豪雨被害でひとつの牛舎が一時孤立化のような状態になったそうです。 広大な敷地に4つの牛舎が点在していますが、ひとつの牛舎に行く道が土砂崩れや道路の崩壊で通れなくなりました。筆者が訪問した9月29日もそのような状態のままでした。 トラクターなどで道なき道を進み、牛のための水などは届けていましたが、電気や水道も止まってしまっているため、作業が思うように進められません。 専門的な技術を持つボランティアを中心に倒れた電柱を取り除いたり、土砂崩れを撤去したりしていました。 訪問の数日後、孤立化は解消されたと報告を聞きました。酪農は電気やたくさんの水などが必要なので、すぐに復旧できない難しさが改めて露呈しました。