牧草地の地滑り、牛舎への道が崩落… 地震と豪雨、生業が再びの被災「元に戻ってしまった」
仲間の被災、クラファンのプロジェクトも停滞
能登町にある「寺西牧場」では地震の影響で、出荷先のレストランが倒壊してしまい、ミルクの卸先がなくなってしまいました。 そこで筆者も支援に携わり、ミルクをフリーズドライしてパウダーにした商品の企画を進め、クラウドファンディングを行っていたところでした。幸い山頂の牧場だったため、豪雨による被害はほとんど出ませんでした。 ただし、周りの道路などで土砂崩れなどが発生して、ミルクの発送が数日間ストップ。 そして、一緒に商品開発をしていた仲間が被災してしまったため、プロジェクトは停滞を余儀なくされました。 地震から復興に向かって進んでいた牧場でも出鼻を挫かれることになりました。改めて、災害とどう向き合うか考える機会になりました。
宿泊業 復興に向けて進んでいたものの…
もちろん、豪雨の影響が出ているのは酪農だけではありません。 輪島市三井町で複数の古民家を活用して宿泊業を営んでいた山本亮さんは、地震で被災後、民間ボランティアの受け入れを行っていました。 宿泊業を一旦ストップし、ボランティアとともに地域の被災住居の復旧作業をサポートしていました。 そして、10月から復興に向けて、被災した古材を活用した家具などの制作や産学連携のプロジェクトなどを行おうとしているところでした。 「ようやく前向きに進もうと思っていた時に今回の豪雨がきました。元に戻ってしまった感じです。また数カ月は復旧作業を行わなくてはいけないと思います」
復活を目指した飲食店もまた被災
輪島のフレンチレストラン「ラトリエ・ドゥ・ノト」のシェフ池端隼也さんは、地震で被災した翌日の1月2日からずっと地域の飲食店の仲間と炊き出しを行ってきました。 8月には炊き出しをやってきた仲間とともに「芽吹」という居酒屋を輪島にオープンさせました。 池端さんは「観光が復活するためには飲食業が必要」と言います。 「能登は魅力的な食材がたくさんありますが、飲食店がないと観光で来られた方は楽しむことができません。食材を味わえる飲食店は輪島の復興のためには必要なんです」 そして、たくさんの観光客に来てもらえるようにと各地に赴き、PRしてきました。 「震災後、前を向かないといけないと思い、明るく振る舞ってきましたが、今回の豪雨でその気持ちが折れてしまいそうです。被災後、借金をして店を復旧していた仲間の落胆した様子は見ていられません」と話します。