タクシー配車、知られざる舞台裏。年間約18万円アップ!バス運転手の働き方改革
「宇宙一本気(マジ)な乗務社員採用!」 目指すは“選ばれるバス会社”
「両備グループ」は、⼀⼤キャンペーン「宇宙⼀本気(マジ)な乗務社員採⽤」に打って出た。グループ傘下のタクシーなどと合わせ、200人の運転⼿を採⽤すると宣言したのだ。 その陣頭指揮を執るのが、「両備グループ」バス・鉄軌道ユニット長の⼤上真司さん。 「乗務社員を充実させて、バスをきっちり揃えて運⾏能⼒をしっかり維持して、お客様に求められるサービスをしっかり提供していく」と話す。 「両備バス」は、運転⼿の給与を年間で18万円以上アップさせるなど待遇⾯を改善。「朝晩のみ」「残業なし」といった多様な働き⽅を提案し、グループ全体のバス運転手、その1割にあたる50⼈の獲得を⽬指す。
まずは広くバスの魅⼒を知ってもらうため、乗⾞体験会を実施することに。 ⾃動⾞教習所を貸し切り、ベテランドライバーが指導。とにかく褒めてバスを運転する楽しさを感じてもらい、興味を持ってくれた⼈には畳みかける。 普段は見ることができない出発前の点呼も公開し、アルコールチェックも体験。実際の運⾏にも同乗してもらい、いつもとは違った⽬線で運転⼿を観察してもらう。 そして最後は、責任者の大上さん自ら膝を突き合わせて誠心誠意アピール。その話に誰よりも真剣に⽿を傾けていたのが、栗原秀之さん(43)だ。
2月。栗原さんはすでに「両備バス」の運転手になることを決めていた。「休みが少ないイメージがあったけど、土日休みがメインになり、平日も希望を出せば休める。それがポイントが⾼かった」。 これまで旅⾏会社や⼤⼿の書店で働いていた栗原さんは普通免許しか持っていないため、バスの運転に必要な⼤型⼆種免許を取得中。約40万円の費用は、「両備バス」が負担する。 栗原さんは、「運転⼿不⾜によって路線の廃⽌というニュースを耳にするが、地元でそういうことがあってはならない。少しでも⼿助けになればいいかなと思う」と、決めた理由を話す。 すでに仮免を取得した栗原さんは、この日初めて路上教習に臨むが、普通⾃動⾞とは全く違う⾞体感覚に悪戦苦闘。気を配らなければならないポイントが山ほどあるのだ。 その後も数週間にわたって訓練を続けた栗原さんは、必死に課題をクリアしようとしていた。 そして迎えた4月1日。栗原さんは、運転手として入社することができたのか? 「両備バス」は、2024年問題を乗り切ることができたのか――。