大阪を水害から守るアーチ形水門…これまで11回稼働
横幅57メートルものアーチ形鋼鉄が円を描くように水面へゆっくりと倒れ、川の流れをせき止めた。大阪市大正区の尻無川河口に設置された水門。月に1、2度の試運転の様子を追うと、ダイナミックな動きに圧倒される。
アーチ形水門は尻無川のほか、同様に大阪湾へ注ぐ安治川、木津川の河口にあり、1970年以来、大阪市沿岸部を高潮から守ってきた。同形式は国内では他になく、設置者の大阪府は「三大水門」と呼び、今や人気の観光スポットだ。
過去の本番稼働は11回。2018年の台風21号で関西空港が浸水するなどした際、水門を稼働させて市街地の被害を防いだ男性(54)は「いざという時のために整備されてきたことに感謝の思いがこみ上げた」と振り返る。 名物水門も老朽化や津波対策を理由に、今後約20年内に鉄板が垂直に昇降するローラーゲート式に変更される。河口の風景は変わるが、街を守る役目は続く。(写真部 原田拓未)