大久保嘉人の提言「日本代表は泥臭くあれ」
A4版のペーパー1枚のリリースという形で、3日に発表されたザックジャパンのヨーロッパ遠征メンバー。総勢7人が名前を連ねたFW陣の中に、自己最多記録を更新する19ゴールをマークして、J1の得点王争いのトップを快走する大久保嘉人(川崎フロンターレ)の名前はなかった。 [表]欧州組ラストチャンス 代表漏れメンバーと復帰メンバー
日本代表への大久保待望論も
ゴール量産のペースに拍車がかかった7月ごろから、インターネット上などでは大久保の日本代表招集待望論が一気に高まってきていた。大久保も「Jリーグでずっと好調を維持してきて、シーズンも終わりのほうじゃないですか。ホント、マジで選ばれたいっす」と代表復帰を強く望んでいた。 ベテランの域に差しかかった31歳のストライカーに対して使う言葉としては失礼かもしれないが、今が旬。思わずそう唸ってしまうほど、新天地フロンターレにおける大久保のプレーは異彩を放っている。
ザックジャパンへの疑念
「いまはシュートを打つ前に弾道をイメージすると、ホントにその通りに飛んでいくんですよ」 そんな大久保に昨年2月のアイスランド代表との国際親善試合を最後に代表復帰の声がかからないのは残念ではある。だが、大久保自身、日の丸から遠ざかっていた間も、ザックジャパンの戦いは、欠かすことなくテレビで観戦してきた。代表への特別な熱い思いがあるがゆえに、今夏を境にネガティブな感情も頭をもたげるようになった。 ボールを失った後に、どうして日本の選手たちは必死に追いかけようとしないのか――。 そういう疑念である。
「泥臭くない。奇麗すぎる」
3戦全敗に終わった6月のコンフェデレーションズカップ。そして、国内では実に8年ぶりとなる4失点を喫して敗れた8月のウルグアイ代表との国際親善試合。幾度となく視界に飛び込んできた光景に、大久保は歯痒さ、あるいは情けなさを感じずにはいられなかった。 「ウルグアイ戦なんて、相手のほうが足元にガツンといってやる、くらいの強い気持ちで日本に向かってきましたからね。あれを日本がやらなきゃいけないのに。みんなに見られて、何か注目され出したから、スライディングとかカッコ悪いことはできない、といった感じにしか見えんかった。ガツガツいくのを恥ずかしがるというか、泥臭くない。綺麗すぎる。ミスを恐れている。それらをやらないと、まず勝てないでしょ。9月の2試合でも、あまり変わらんかったね」