「あの電話のことは忘れられません」広島カープ・新井貴浩監督が明かす“阪神時代の岡田彰布監督”「自分にとって岡田さんは特別な存在です」
物語の再開は敵同士として
だが、岡田と新井の物語はそれで終わりではなかった。新井が広島の監督に就任した2022年の秋、岡田もまた阪神の指揮官として再登板が決まったのだ。就任会見にタイガースを象徴する黄色のネクタイを締めて現れた岡田は言った。 〈新井が赤いネクタイしてたから。黄色にしていかなあかんかな思って〉 かつて悲劇のシーズンを過ごした指揮官と主砲による第二章の幕開けである。 岡田は、監督として若葉マークをつけた新井の前に立ちはだかった。 「やっぱりぶれないんです。野球を知っていて基本に忠実で、余計なことはしない。野球には目に見えない流れがあって余計なことをすると流れが変わってしまうことがあるんですが、岡田さんはそれを手放さないようにじっと我慢している。自分がタイガースの選手だったときにも岡田さんは当たり前のことを当たり前にやりなさいと言っていたんですが、そういうことだと思うんです。ただ、成熟期に入った阪神に比べて、うちはまだ今からの若い選手が結構いるので、あえて動きを出していかないといけない。リスクを覚悟でやらないといけないと感じてましたから(ヒット)エンドランを1試合に8回ぐらい出したこともありました。セオリーからしたらありえないんですけど、リスクを取ってガンガン攻めていかないといけなかった」 新井がベンチの最前列に立つ。グラウンドを隔てて反対側のベンチではどっかりと座った岡田が腕を組んでいる。動と静のせめぎ合いはリーグを沸かせたが、中でも新井の記憶に残っているのが2023年のCSのファイナルステージだという。
(「NumberPREMIER Ex」鈴木忠平 = 文)
【関連記事】
- 【あわせて読みたい】阪神・参謀が明かす岡田マジックの正体…佐藤輝明に荒療治、大山悠輔には「何も言わないから」「あの降板があったから村上頌樹の活躍が…」
- 【独白】阪神・岡田彰布監督がいま明かす“18年ぶり”優勝秘話…4番を佐藤輝明でなく大山悠輔に決めたワケ「よくもまあ、ここまで強くなったもんや」
- 【写真】「わ、若い!」阪神にFA加入した新井貴浩の頭に帽子をのせる岡田監督…ニコニコで2ショット
- 【話題】「やるせないっていうか」阪神・佐藤輝明が明かした“本塁打減少の意外な理由”とは?「今年は本当にキツかった…甲子園の広さと風」
- 【名作】「なんで、ひと言もないんだ!」立浪和義の怒声…落合博満はなぜ中日の“聖域”にメスを入れたのか?「これは俺にしかできない。他の監督にはできない」