大学生が300円で買った絵画が本物のシャガール作品!? 不用品セールのポスターの山から発掘
カリフォルニア州オレンジ郡で開催された不用品セールで、大学生が2ドル(約300円)で購入したオイルパステル画がマルク・シャガール(1887-1985)作であり、2万ドル(約300万円)の価値があることが分かった。 カリフォルニア州の大学で政治経済学を専攻するシャノン・キムは、同州オレンジ郡で開催されたエステートセール(最近亡くなった人、または引っ越しにあたり動産を売却しなければならない人が所有していた物を処分するためのセール)でこの作品を見つけた。 キムはその時の状況を、Artnetの取材にこう話した。 「全て1ドルか2ドルと書かれた、美術品とポスターが混ざった巨大な山の中に絵画がありました。裏をよく見たらマルク・シャガールと書いてあって、『シャガールって、本気なの?』と驚きました」 本物と示唆する証拠はほかにもある。シャガールの署名が書かれていたのは、ニューヨークのウエスト8番街5番地にあるジャン・ミッチェル・ギャラリーのラベルだったのだ。彼女はクリスティーズで働く知人の所にこの作品を持って行き、鑑定を依頼した。サインをチェックした知人は非公式に本物だと告げ、2万ドル(約300万円)の査定額を提示した。マルク・シャガールの作品はオークションで高額で取引されており、現在は、2017年にサザビーズ・ニューヨークで出品された《Les Amoureux》(1928)の2850万ドル(現在の為替で約43億円)が最高額だ。
だが、空を飛ぶサーカスや恋人たちなど、幻想的なモチーフが特徴のシャガール作品に対して、キムの作品はピンクの背景に赤いバツ印が大胆に入れられた、やや抽象的なもの。彼女が絵画の購入を明かしたX(旧ツイッター)の投稿には、「この作品のどこがシャガールなんだ」と揶揄する人も現れた。 これに対してキムは、《Bouquet a la main》(1957)を例に挙げ、「シャガールは1950年代には、私の作品のように長い筆致が特徴の生き生きとしたオイルパステル画を描いていました」と反論する。 キムは、この作品を売却するつもりはないという。その理由について、「シャガールの作品だから買ったわけではありません。本当に美しい作品だと思ったから手に取ったのです」と話した。
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