DIPファイナンスのパイオニアが目指す未来 ~ 業界再編も視野に入れた一気通貫の事業再生 ~
―ノンバンクであるBrighten Japanと窮境企業との接点の持ち方は
(川瀬)東京や大阪の有力な再生弁護士が個人として弊社に協力(優先株等)して頂ける予定だ。こうした弁護士のネットワークを通じて接点を持つことが多くなるだろう。 すでに複数の専門家から相談が寄せられている。許認可や業法の絡みがあるので現時点でファイナスは実行できていないが、再生実務家から非常に高い期待を寄せていただいていると感じている。 先ほどのオールジャパンの話に繋がるが、人手不足や原材料費の高騰など外部環境が苦しくなるなかで、「全体の旗振り役がいない」との声は再生実務家から根強い。これに対応することへの期待もあると感じている。
―倒産村の有力弁護士は投資リターンをそもそも追求しないのでは
(沢田)当然、リターンは必要だが、それよりも再生実務を重ねるなかで、必要と認識されている役割や期待に基づき、「on the same boat」というご趣旨で出資頂いた、と理解している。 (川瀬)また、長らく続いた金融緩和や倒産件数の減少などで再生人材が不足していることにも対応したい。士業でも抱えている問題だが、やはり金融機関は人事制度の問題もあり(人材不足が)顕著だ。 金融機関は一般的に、定期的な人事異動があるため、腰を据えて事業再生に取り組みたくても叶わないことがある。このため、事業再生に取り組める違う業界やマーケットに移らざるを得ないケースもある。こうした状況に1つの解決策を提示出来ればと考えている。
―事業会社からの出資もあると聞く。リターンにシビアなのではないか
(沢田)第一段階として、数十億円を調達し、窮境企業へのDIPファイナンスをエッジとするデット・プロバイダーとして活動する計画だ。調達に際しては、様々なご意見を聞いた上で条件を決めている。ただ、今回ご協力いただく皆さんは必ずしもprofit-oriented(利益志向)ではなく、趣旨と志に賛同頂けた方々と理解している。なかには「沢田さんが、GP(※2)やるんでしょ?だったら任せるよ」という方もいる。 ファンドは、資金の集め方というか、最初握りというか、コミットする相手が当初の目的とズレると苦しむことになる。 DIPファイナンスで実績を積み上げた上で、第二段階として、セレクトした企業の再生支援に向けて、エクイティ出資し、ハンズオンでの経営改善などでのスケール、或いは、事業再編なども手掛けるファンドを組成し、入口から出口まで一気通貫で対応する再生プラットフォームに発展させたい。 ※2 General Partner=無限責任組合員。ファンドの運営に責任を負う組合員のこと