【バスケ】「自分に任せてください」琉球U15・宮里俊佑の未来につながる決意のシュート【Jr.ウインターカップ】
自ら志願したタイムアウト明けの1本
1月4~8日にかけて武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京・調布市)で開催された「Jr.ウインターカップ2024-25 2024年度第5回全国U15バスケットボール選手権大会」は、男子・RIZINGS徳島、女子・京都精華学園中の優勝で幕を閉じた。 特に、RIZINGS徳島と琉球ゴールデンキングスU15による男子決勝戦は、U15世代とは思えないほどにハイレベルなプレーの応酬、そして壮絶なクロスゲームとなった。 先手を取ったのは琉球U15で、「初めてのメインコートで少し浮き足立っていた」(RIZINGS徳島・十川佳司コーチ)という相手を尻目に、前半で36-28のリードを奪う。しかし、後半に入るとRIZINGSのメンバーが思い切り良くシュートを打ち切り、とりわけ#18 岩朝ローマがすばらしいシュートタッチで試合を通して5本の3Pシュートをヒット。この岩朝が、同点(64-64)の4Q残り55秒に左ウィングから値千金の3Pを決め切り、これが決勝弾となった。 最大で10点のリードを奪いながらも敗れた琉球U15の選手たちはショックを隠し切れなかったが、中でも#29 宮里俊佑が抱いた悔しさは計り知れない。彼はこの試合で#54 越圭司(37得点)に次ぐチーム2番目の17得点を挙げた。だが、同点を狙った残り13秒のシュートを外してしまった。 「相手がタイムアウトを取ったときに、末広(朋也)コーチに『自分に任せてください』と言いました。責任を持って最後のシュートを打ち切ったんですけど、任せてくれと言ったのに外してしまって…みんなに申し訳ない気持ちでいっぱいです。チームメイトもコーチ陣も全員が自分のことを信頼してくれて、作ってくれたプレーを自分が壊してしまいました」 この場面、タイムアウト明けにフロントコートで越がインバウンド、#56 友寄快星のスクリーンを使ってトップでボールを受けた宮里は、#16 小畠空とのアイソレーションから右にサイドステップを踏んで3Pを放った。彼の必殺技とも呼べる得意ムーブだったが、これは僅かにリングの奥に当たって弾かれ同点とはならなかった。 「キャプテンとしても本当に責任を持って最後のシュートも打ち切りました。絶対に入る、絶対に決めてやるという思いでした。その思いで練習もずっとやってきたんですけど、これで外しているということはまだ練習が足りないんだと思います。自分でもそんなことは言いたくないですけど、結果として外しているのでやっぱり練習不足。本当にすごく悔しいです」 試合が終わり、表彰式が終わっても宮里の目からは涙があふれ続けた。どんなに高いスキルを持って、どんなにすばらしいプレーをしても、彼もまだ15歳の中学生。この現実は簡単に受け入れられるものではない。 だが、決勝に至る過程と同世代トップクラスの選手相手に渡り合った事実、そして最後のシュートを自らの意志で打ち切った覚悟は、彼の将来に間違いなくつながってくる。 宮里も「この大会では(準決勝でマッチアップした)メリノールの白谷柱誠ジャック選手が自分の中で本当に強烈でした。世代No.1プレーヤーの力を実感しましたし、これが世界の基準なんだと改めて実感させられました。決勝でもマッチアップした平岡選手は2年生だったので、本当に絶対やらせないという気持ちで臨んでいました。決勝は自分も責任を持って練習してきたことを出せて、平岡選手を止めれたところもあったのかなと思います」と言い、今大会は同世代での自身の立ち位置を見極める貴重な経験となった。 将来的に「河村勇輝選手や岸本隆一選手のような、外もあってゲームコントロールができて、ブレイクを作れるポイントガードになりたい」と明確なビジョンを持っている宮里。 琉球U15のシーズンはまだ終わらない。この借りを返す最後の舞台は、3月末のB.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIPに残されている。決意を込めながらも決め切れなかった1本のシュートが、宮里をさらに成長させる糧となることを期待したい。
文/堀内涼(月刊バスケットボール)