K9・天弓2を希望するウクライナ特使団…韓国政府は「武器支援」沈黙を選択
ウクライナ大統領特使団が最近訪韓し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領をはじめ、申源湜(シン・ウォンシク)国家安保室長、金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官らと相次いで会って武器支援を要請したが、韓国政府は慎重な態度を見せている。特使団を迎えて高官級交流の意志を見せたこと自体がウクライナに対する支持を表示したとみて、ひとまず立場を保留する雰囲気だ。 ◆トランプ氏の当選後に雰囲気反転 ウクライナ大統領特使団の訪韓は、先月29日の尹大統領とウクライナ大統領の電話で公式化した。朝ロの不法軍事協力に「共同対応するための戦略的協議」を目的にゼレンスキー大統領が先に提案したという。当時、政府が北朝鮮軍のロシア派兵を最初に発表(先月18日)してから10日ほど経過した時点であり、特使団の派遣と重なって韓国の武器支援議論が表面化するという見方があった。すでに「段階的対応」を警告していた尹大統領は、当時の電話で「ロ朝の軍事的野合を座視しない」と強調した。 こうした雰囲気が反転したのは、6日(現地時間)にトランプ前米大統領の当選が確実視されてからだ。トランプ氏は選挙期間中「(就任後)24時間以内にウクライナ戦争を終わらせる」と公言してきたが、米新政権の基調が決まらない中、近く終わる戦争に足を踏み入れるのはプラスよりマイナスが大きいという懐疑論が台頭した。また、休戦交渉を控えて激化する戦闘に絡むべきでないという懸念も強まった。 これを受け、政府は今月、殺傷武器の供与には事実上、一線を画した。尹大統領は「武器支援をする場合、防御武器から優先的に考慮している」(7日)と述べた。大統領室の関係者も「ウクライナが防御能力を持つよう補充することも必要」(18日)とし、支援するとしても防御武器の供与に重点を置いた。 ◆「ローキー」特使団訪韓…武器要求に沈黙 27日に尹大統領を表敬訪問したウクライナ大統領特使団の訪韓が全般的に「ローキー(low key)」で進行されたのもこうした背景のためだ。特使団の入出国時点など訪韓の動線はほとんど非公開だった。 また大統領室は武器支援議論への言及が抜けた事後報道資料だけを出した。報道資料には「ロ朝軍事協力による安保脅威に対処するために韓国とウクライナが『実効的な対応案』を講じていくことを望む」という尹大統領の発言だけを入れた。「実効的に対処しよう」という尹大統領の言葉には、武器支援に関連して安易に動くことはできない韓国のジレンマが表れているという指摘だ。 実際、ウクライナ特使団はK-9自走砲、天弓2などを支援あるいは販売方式で韓国が供与することを希望したが、これに政府は明確な返答をしなかったという。ただ、28日の国会国防委員会に出席した金竜顕国防部長官は「細部事項は答弁が限られる」としながらも「(天弓を購入するという)提案を受けたことはない」と述べた。 高麗大の南成旭(ナム・ソンウク)統一融合研究院長は「韓国としては北の軍の関連情報を収集するためにウクライナとの協力も必要だが、同時にトランプ次期大統領の意中も綿密に確認する必要がある」とし「したがってウクライナの武器支援または販売要求に公開的に『イエス、ノー』で答える代わりに『検討する』という留保の意見を見せるのが現在では最善」と話した。 ◆「不確実性高い…カード惜しむべき」 専門家らはトランプ政権2期目のウクライナ終戦ロードマップを分析するのが先だと指摘する。トランプ氏側はまず「韓国が(ウクライナ戦争)介入を考慮している」(マイク・ウォルツ国家安全保障補佐官内定、24日)とし、戦争拡大自制シグナルを送った。 しかし終戦交渉が本格化しながらウクライナ支援を増やして交渉力を高める必要があると判断される場合には、同盟に負担を積極的に転嫁する可能性が高い。実際、最近指名されたケロッグ・ウクライナ・ロシア担当特使が用意した終戦案によると、米国はウクライナが平和交渉に入れば武器支援を継続するという構想だ。 梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)北朝鮮学科教授は「今後の状況を眺めるべきであり、いま武器支援をしてしまえば我々が握っているカードを失うことになる」とし「トランプ氏は就任後ウクライナ支援にかかる費用をNATOなど外部に転嫁する可能性が高いが、実際に武器を支援する余力がある国は韓国を含めて少数にすぎない」と話した。続いて「トランプ政権2期目を控えて不確実性が高い状況で急いで動いてはいけない」と強調した。 こうした中、欧州は韓国の武器支援に圧力を加える雰囲気だ。欧州議会は28日(現地時間)、朝ロ軍事協力を非難しながら「韓国にウクライナ武器支援に対する立場変更を要請することを促す」という決議案を採択した。