倒産から「再起」した社長 732人 売上拡大に尽力 経営者保証、債務返済など、再起への課題も浮き彫り
倒産企業数別 2社以上は1割にとどまる
倒産から再起を果たした経営者732人の倒産企業数(回数)は、最多が「1社」の647人(構成比88.3%)と約9割を占めた。 一方、倒産企業数が複数の経営者は85人(同11.6%)だった。内訳は、「2社」69人(同9.4%)、「3社」12人(同1.6%)、「4社」3人(同0.4%)、「5社以上」が1人(同0.1%)だった。 初回倒産した時の年齢区分では、最多は「40歳代」の235人(構成比32.1%)。次いで、「50歳代」の146人(同19.9%)、「30歳代」の106人(同14.4%)と続く。 東京商工リサーチの「全国社長の年齢調査」では、2023年末の社長の平均年齢は63.76歳だった。年齢が若いほど再起しやすく、初回倒産時の年齢のボリュームゾーンは、社長の平均年齢より若い40歳代から50歳代となっている。
倒産時の負債額別 1億円以上5億円未満が最多
倒産時の負債額別では、最多は1億円以上5億円未満の253人(構成比34.5%)だった。 次いで、10億円以上154人(同21.0%)、1千万円以上5千万円未満127人(同17.3%)、5億円以上10億円未満108人(同14.7%)、5千万円以上1億円未満90人(同12.2%)だった。 2023年の全国企業倒産の負債額別は、1億円未満が全体の7割超(同74.7%)を占める。過去の倒産から再起した経営者の負債額は1億円以上が7割(同70.3%)を占め、中堅規模以上の倒産を経験した経営者が多い。 負債額に比例して企業規模も大きく、失敗を糧に経営への経験と知識を得ているようだ。 また、中小企業では経営者保証を求められるケースが多く、負債額の小さいレンジで再起率が低い要因になっている可能性もある。
経営者の倒産歴「有無」別企業業績 「再起企業」は売上5億円以上が半数
倒産から再起した経営者が経営する企業(以下、再起企業」)のうち、4期連続で売上高と最終利益が比較可能な153社の業績を分析した。 2023年決算(2022年10月期-2023年9月期)は、売上高合計が2,183億4,900万円(前年比8.7%増)、最終利益が49億1,900万円(同5.6%減)だった。コロナ禍初年の2020年(売上高2,054億6,400万円、最終利益36億4,800万円)と比較すると、売上高は6.2%増、最終利益は34.8%増と成長をたどっている。 「再起企業」の売上高別構成比は、「1億円以上5億円未満」が35.2%(54社)で最大だった。次いで、「10億円以上50億円未満」が24.8%(38社)、「5億円以上10億円未満」が20.9%(32社)で続く。5億円以上が半数(構成比50.9%)を占めた。 一方、「一般企業」の売上高別構成比は、「1億円未満」が44.9%(20万4,854社)、「1億円以上5億円未満」が31.5%(14万3,809社)と続き、5億円未満が7割超(構成比76.5%)を占める。 倒産歴のある経営者が経営する企業は、一般企業と比べ、売上規模の大きい企業が多い傾向がはっきり出ている。