「スマホを持っているだけで受信料徴収」という恐怖 警戒すべきNHK「放送法改正」の真の狙い
「大河も朝ドラも見ていない」
任意業務だったネット事業の予算には年間200億円という上限が設けられていたものの、今後は撤廃が検討されている。 「5月22日に行われた稲葉延雄会長の定例会見では、ネット配信が必須業務となったことを『歴史的な転換点』と表現していました。NHKを観る人と観ない人、双方に何の変化も生み出さないのに、いったい何が“転換点”なのか分かりません」(砂川教授) 昨今はテレビ離れが一段と進んでおり、砂川教授の実感では、 「なかでも“NHK離れ”は、より深刻です。学生にアンケートを取ってみると、民放が出資する動画視聴サービスのTVerは75%近くが利用していましたが、NHKプラスはわずか1%。NHKがネット視聴のターゲットに想定しているであろう若者は、実は大河も朝ドラもNスペも観ていません。テレビ視聴とは習慣ですから、彼らの世代が親となった時にはその子たちもまた、NHKを観ないはず。稲葉会長が“転換点”とたたえる今回のネット進出は、その解決策には全くなっていません」 にもかかわらずNHKが法改正にこだわったのは、 「先々の増収策につなげるための布石だと思います」 というのだ。
「強制ではなく“お願い”のはず」
「テレビ受信料の収入は好転する兆しがありません。となると、簡単にはいきませんが『強制徴収』も含めた何らかの方法でネット受信料を払ってもらうことを考えるしかない。NHKがネット受信料の口火を切ることに必死なのは、現在の受信料制度そのものに、世間の拒否感が強くなっているからです。本来は『良質の番組を放映しているから対価を払いたい』となるのが理想で、強制ではなくあくまで“お願い”のはず。それゆえ不公平な状態が続いており、若い世代ほど拒否感を抱いているのです」(砂川教授) だからこそNHKからすれば、 「ゆくゆくはスマホ所有者から一律徴収してはどうか、といった発想に至るわけですが、これも諸刃の剣です。強制にした途端、現在受信契約をしてくれている人にまで拒否感を持たれ、逃げられる恐れもある。そもそもNHK内部でも『自分たちの力で受信料を集めるから価値がある』という声も根強くあると聞きます」(同) それでも、背に腹は代えられず。ジリ貧から脱する活路は、ネットに求めざるを得ないというのだ。