ベテラン編集者も絶賛!タイ・プーケット「ラグジュアリー美食リゾート」注目ヴィラのディナーをレポ
次に登場したのは、椰子の新芽のひと皿。コーヒーで作ったスパイスがアクセントです。食べたことのない椰子の新芽は筍のようにシャクシャクとして歯触りが楽しい。ナスタチウムの酸味とさまざまな香りが混じり合い、新感覚の“野菜料理”と表現したくなるひと皿です。
発酵を多用するのも、ジミー氏ならでは。例えば海老のひと皿では、発酵マンゴーのソースが酸味と深みのある味わいをもたらし、海ぶどうのプチプチとした食感が楽しいひと皿になっていました。
メインの鴨肉の料理にも、技が光ります。一見普通の鴨のローストに見えますが、まず、食感が普通の鴨とは違い皮がパリッと薄く軽やかなのです。 聞けば、鴨肉は薪火の火床の上に吊るして7日間ドライエイジングさせることで旨みを凝縮し、皮の独特の食感を引き出します。じっくりと焼いて脂が滲み出た皮は、仕上げにバーナーで炙り、より香ばしさをまとわせています。ソースは鴨の骨で作る王道のものですが、ポイントはトラン産の最高級の香り高いこしょうを使うこと。このこしょうが、鴨にオリエンタルな風味を生み出し、プーケット・キュイジーヌの風を運んできました。 3時間かけて楽しんだコースは全8品。ジミー氏の、タイで育つさまざまな食材への深い知識と愛情から生まれる料理は、どれも土地がもつ力強さと個性を饒舌に語っていました。 タイへの旅行を考えている方は、ぜひプーケットまで足を延ばして「PRU」を訪れてみてください。未知なる刺激的な美食体験が、あなたを待っています。 【Trisara】 60/1 Moo 6, Srisoonthorn Road, Cherngtalay, Thalang, Phuket 83110 PRUコース料理:ディナー TBH6,900(税・サ別) 取材・文=山路美佐