白星の7割以上が逃げ・先行 強気の騎乗で魅せた豪州の名手とは
JRAの短期免許第1号となったL.クロップ騎手が、94年6月25日にJRAで初騎乗してから、今年でちょうど30年となる。これまでにのべ70人以上の名手が海の向こうから来日し、日本の競馬を盛り上げてきた。そんな短期免許を取得したジョッキーたちの軌跡とは。C.ウィリアムズ騎手は豪州を拠点に活動する名手のひとりだ。 【写真】天皇賞(春)を制したジャガーメイル ウィリアムズ騎手は77年生まれ。93年に見習い騎手としてデビューを迎え、00年にはグランエシェゾー(Grand Echezeaux)とタッグを組みオーストラレシアンオークス(豪G1)でビッグタイトルをゲットした。その後も実績を積み上げ、05/06年から4シーズン連続でヴィクトリア州メトロポリタン地区におけるリーディングを獲得。19年にはヴァウアンドディクレア(Vow And Declare)でメルボルンC(豪G1)を勝ち、史上8人目となる豪州グランドスラム(4大古馬レースのメルボルンC、コーフィールドC、コックスプレート、ゴールデンスリッパーSをすべて勝つこと)も達成した。 初来日は06年のワールドスーパージョッキーズシリーズで、土曜11RのゴールデンホイップTでさっそくJRA初勝利を挙げた。翌年の同シリーズでは初戦こそ14着だったが、以降を2着、1着、4着の好成績でまとめて、南半球所属騎手として史上初の優勝。10年には初めて短期免許を取得し、騎乗2日目の天皇賞(春)をジャガーメイルで制してJRA・GIタイトルを手にした。その後も11年NHKマイルCでグランプリボス、11年朝日杯FSでアルフレードを勝利に導いている。 そんな国内外で実績十分な彼は、積極果敢な騎乗スタイルが持ち味だ。JRAで挙げた89勝のうち、実に7割以上が逃げ・先行によるもの。一方で追込での白星はわずか3勝。そもそも、最後方に構えることがほとんど無く、序盤からポジションを取りに行くことが多い。12年の京都新聞杯ではトーセンホマレボシで2番手から運び、馬場と展開を味方に付けて2馬身半差の圧勝。16年のWASJ第4戦ではそれまで逃げたことがないランドオザリールでハナを切って2着に粘り込み、単勝13番人気ということもあり大波乱の立役者になった。 47歳を迎えて大ベテランの域に入ったが、オーストラリア国内ではいぶし銀の活躍を続けているウィリアムズ騎手。一昨年のWASJでは、ひさびさの来日もあった。またいつの日か、日本のファンに強気の騎乗を見せてほしい。