“手取り増やす議論の最中に増税決めるのは…”防衛所得増税時期3度先送り「学生バイトの壁」150万円に引き上げだと親の手取りは?
「学生バイトの壁」150万円での効果は
第一生命経済研究所の試算(「基礎控除」などは現行水準で仮置き)では、会社員の親が年収600万円で、学生の子どもの年収が150万円の場合、いまのしくみだと、「特定扶養控除」を受けられず、親の手取りは465.9万円になるが、「特定扶養控除」の子の年収上限が150万円に引き上げられるとすると、親の手取りは476.8万円へと10.9万円増えることになる。親が年収400万円だと手取りは7.7万円増え、年収800万円だと17.4万円増えると試算されている。 ただ、学生の子どもが働き方を抑える年収水準をめぐっては、130万円以上になると健康保険での親の扶養を外れて、保険料負担が発生することから、税制面での壁を引き上げても、社会保険上の「130万円の壁」は残ると指摘されている。 また、国民民主党とは、所得税がかかり始める「103万円の壁」の引き上げとあわせての合意が必要になるため、最終的な結論は変わってくる可能性がある。 防衛所得増税の開始時期について、自民党の宮沢税制調査会長は、「来年以降に決める。あらゆる選択肢がある」と述べたが、3年連続の先送りで、防衛費の安定的な財源確保は欠いたままの状態となった。 「103万円の壁」をめぐっても、国民民主党との溝は埋まらず、視界が見通せない状態が続く。衆院選で、自民・公明両党が少数与党となったことが、税制改正の決まり方に影響を大きく広げる様相となっている。 (フジテレビ解説副委員長 智田裕一)
智田裕一
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