玉置玲央「確固たる自分をもちつつ頑固ではない“カッコいい爺さん”になりたい」
── “カッコいい”というのは、まさにLEONが追いかけ続けているテーマなんですが(笑)。玉置さんが憧れ、目指している“カッコいい大人”、“カッコいい爺さん”って? 玉置 僕にとっては、“カッコいい大人”も“爺さん”も同じで、何事にもブレることがない、確固たる自分を持っている人です。自分のやるべきことは100%以上の力でやり遂げる。それでいて、頑固ではなく、流動的に対応することもできる──。そういった人が“カッコいい”と思います。 ── 玉置さん自身は実践できていますか? 玉置 まだまだです。いろいろなことに惑わされてしまうし、ヨコシマな考えも持っている(笑)。そういったものを取り払って、生きていければいいのですが、まだその境地には至れません。70歳くらいになった時、そういった大人になれていたらいいなあと思います。
『朝日』に人生を狂わされたと思ってくれる方がいれば万々歳
── ところで今回の舞台『朝日のような夕日をつれて』は鴻上尚史さんの処女作であり、自他ともに認める代表作です。1981年の初演から繰り返し上演されていますが、今回の上演は10年ぶり。玉置さんが考える、『朝日』の面白さとはどんなものでしょう? 玉置 『朝日~』をはじめ、鴻上さんが書かれる脚本は、その時代を切り取り、毎回新しいものを取り入れてブラッシュアップしていて、『朝日~』も二度と同じものはありません。とはいえ、作品自体の根底に流れている熱量や演劇的な面白さは不変です。そして、時代が変わり、演じる人間が変わっても、大切な部分は脈々と受け継がれていく。少しずつ姿を変えながら、作品が完成するのが、面白いところかなと思います。
── 玉置さんは、10年前にも別の役で同作に出演していますが、鴻上さんとの仕事も10年ぶりですか。 玉置 そうですよ。 ── 久々にご一緒される、鴻上さんの印象はいかがですか? 玉置 変わらないですね、変わらずお元気です。ただ、先日、たまたま10年前のパンフレットを見ていたのですが、なんかスマートになられたなって(笑)。 ── 演出面のほうで変化はありました? 玉置 僕が言うのはおこがましいのですが、少しまろやかになった印象があります。もともとすごく厳しいという方ではないですし、頭ごなしにあれやこれや言うタイプではありません。俳優から出てくるものを拾ってくださる方で、以前からそうでしたが、さらに懐が広くなったというか……。そして、時々ピリッと怒ってくださる。10年前も、今も、鴻上さんの稽古場はとても居心地がいいです。 ── 若い演者の方も多くて稽古場の雰囲気も良さそうですね。 玉置 今回、僕が39歳で座組の最年長、最年少も30歳なので、出演者の年齢差がぐっと縮まりました。これが年齢によるものなのか、この作品に対する思いによるものなのかわかりませんが、作品が変容していく姿を目の当たりにできているように思います。