「もう東京のホテルには泊まれない」出張する会社員の悲鳴。空港ロビーやカーシェアに寝泊まり、野宿する人まで
ラブホに中国人エステ、果てには野宿を敢行する人も
穴場スポットはまだまだある。「ネット予約に対応していないラブホが狙い目です」と語るのは兵庫県在住の男性(35歳・製造)だ。 「出張時の定宿にしていた上野の古いカプセルホテルが満室だったんです。界隈にも空きがなく、途方にくれてネットで情報収集すると、鶯谷のラブホテルが穴場だと知りました。路地裏にある陰気なラブホが空いていたので、飛び込みで入りました。重い鉄の扉のカビ臭い部屋だったのですが5000円台だったので満足です。ただ夜中、足元に違和感を覚えて起きたら、シーツがびっしょり濡れていたんです。いまだに謎なのですが、妻に言ったら『それ絶対、幽霊やろ』って(笑)」 強引な手口で寝床を確保するつわものも。愛知県在住の男性(46歳・食品)は言う。 「中国人エステで仮眠させてもらうと、3000円で済みますよ。一度、地元で終電を逃したときに、客引きと交渉してヌキなしの仮眠だけさせてもらったことがあるんですが、この手が東京でも使えるだろうと思って。新橋で中国人のおねえちゃんに下手な中国語で悲壮感を醸してお願いしてみたら案の定、OKでした。パーティションしかない簡易ベッドで、隣で施術されてる知らないオッサンの『あっ』とか『ウッ』とかいう声は気になりましたが……」 そして最後に紹介するのは究極の方法=野宿だ。 「ビジホは高すぎるし、SNSを見てると安い漫喫やサウナはトコジラミのリスクがあって怖いでしょう。それでもう野宿したんです。六本木で飲んだあと、スマホで調べて出てきた近くの有栖川宮公園で寝ました。9月でまだ猛暑だったけど、公園内は意外とひんやりしてて5時間くらい眠れましたよ。その後、多目的トイレで体を拭いて歯磨きし、打ち合わせ先に向かいました。蚊がめちゃいたのでコンビニで虫除けスプレーを買ったんですが、これが1000円もして地味に痛かったです」(28歳・大阪府・流通)
土地勘がない人はどうホテルを探す?
これら出張族の悲哀は、環境の変化に対応した新たな宿泊の態様だと言っていいのだろうか。橋賀氏にホテル探しの妙技を聞いてみた。 「都心から離れたところが安いといいますが、出張前から離れたところに泊まりたいと思う人はいませんし、探すのも面倒くさい。ホテル予約サイトはエリアを選ばないと候補が出てこないので、土地勘がない人は探しにくい。そこで私がおすすめするのはグーグルマップ。『ホテル』のタブから宿泊日や予算を設定すると、条件に合ったホテルだけが表示されます。マップ上でエリアを簡単に変えられて、宿泊料金の最安値が表示されるので便利です」 年末に向けてホテル代の一層の高騰が予想される。出張族にとっても、忘年会で終電を逃した首都圏のサラリーマンにとっても、しばらく辛い日々が続きそうだ。