「あいさつができない子」は損をする…小学校教員が指摘「大人が気づいていない"ヤバイ"を連発する弊害」
■「やばい」が子供の成長を奪っている 人とのやりとりでは、頭の中でことばを選ぶ瞬間が必ずあるものです。その選択肢の幅は、語彙力の問題だけではなく、適切に状況を読みとる力にも左右されます。 質のよいコミュニケーションは、繊細なことば選びとセットなのです。ことばを使うときに一切の状況をふまえないのは、残念ながら「何も考えていない」ということになります。 「やばい」ということばは便利なものです。肯定的な意味でも、否定的な意味でも使うことができるからです。 しかし、あらゆる場面で使うことができるということは、結局は状況を考えずに使ってしまいがちです。つまり、話し手が思考する場面が少ないのです。これが一律にことばを使うことの弊害です。 子どものことばづかいを正す意図は「コミュニケーションを通じて思考する場面を増やす」という点にもあります。 人とやりとりをするたびに、場にふさわしいことばを選んでいる子とそうでない子。両者の間には、「考える」という経験の積み方に、はっきりとした差が生まれるのです。 ---------- 岸 圭介(きし・けいすけ) 早稲田大学系属早稲田実業学校 初等部 教諭 1979年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。早稲田大学大学院教育学研究科教科教育学専攻博士後期課程修了。専門は国語科教育学、博士(教育学)。藤子・F・不二雄による『ドラえもん』(小学館)を小学校の教科教育の観点から編集した『学年別ドラえもん名作選(全6巻)』シリーズの監修及び解説の執筆、『ドラえもん 大ぼうけんドリル』シリーズの監修を務める。 ----------
早稲田大学系属早稲田実業学校 初等部 教諭 岸 圭介