2025年 広告支出 、デジタルがけん引するも成長は減速。リテールメディアは爆発的成長から持続的成長へ
記事のポイント 2025年の広告支出は成長が予測されるが、伸び率はパンデミック後の急成長期から鈍化している。 デジタル広告が全体の広告支出の大部分を占める一方で、地域ごとの不均衡や政治的要因が影響している。 リテールメディアやソーシャルメディア広告の成長率も減速し、市場は安定感を保ちながら変動要因が残る状態にある。 来年の広告支出は毎度おなじみの、成長するが速度が鈍いという予測が示唆されている。 これは、パンデミック後の広告経済を特徴づける展望であり、予測できない混沌とした追い風を背景に支出が急増した好況の時期とは隔世の感がある。 実際にどれだけ景気が減速するかは情報源によって異なるが、2025年も広告支出については堅調な1年となる可能性が示されているものの、成長の鈍化、地域による不均衡、および米国においてはトランプ政権の復活にまつわる不確定性によって、楽観視はできないということが明らかだ。 業界の最古参で、メディアアナリストを務め、ニュースレターのマディソンアンドウォール(Madison and Wall)の著者でもあるブライアン・ウィーザー氏によると、デジタル広告への支出は、政治資金を除いて来年に8.4%の成長が見込まれるが、これは2024年の予測だった14.3%の成長よりも明確に落ち込んでいる。
成長は鈍化するも依然高水準
グループエム(GroupM)によると、これらのデジタル広告資金は2025年の合計広告支出の実に72.9%を占めているため、全体の成長も同じような傾向を示していることは驚くにあたらない。業界の合計収益(政治的な広告の資金を除く)は2025年に7.7%増えて1兆1000億ドル(約165兆円)で、今年の予測である9.5%の成長より鈍化している。成長は鈍化しているものの、依然としてかなりの成長率ではある。 電通(Dentsu)の予測はさらに控えめなもので、2025年における広告支出の成長率をわずか5.9%としている。これは世界経済における成長率の2.7%を上回っているものの、明らかに警戒すべき兆候である。 現実には1ケタ中盤の成長率に戻り、2000年代中盤を特徴付けた安定ペースに戻ることになるだろう。数年間にわたって急成長したあとで、広告市場は快調でないとしても、より予測しやすい状況に落ち着いたようだ。