「5分あれば余裕で装着完了」話題の布製タイヤチェーン「イッセ・スノーソックス」の実力を検証 従来のチェーンとは異なる“手軽な装着性”と“収納性の良さ”を実感
布製滑り止めの走り心地は?
装着後の走行感覚は実にスムーズで、金属やプラスチックチェーンのような騒音やガタガタとした振動とも無縁です。ここで守るべきことは、注意書きにもあるように40km/h以下での使用を心がけること。布製滑り止めチェーン本来の性能を発揮し、摩耗を極力防ぐためにも、この制限速度は守りましょう。 実はテスト車両にはブリヂストンの「ブリザックVRX3」が装着されていて、その上にスノーソックスを被せてのテストでした。当然ながらトータルでの使いやすさや実用性の高さ、そしてアスファルト路面での快適性ではブリザックが上でした。 一方で2018年には国土交通省によって、「布製滑り止め」が金属&非金属製チェーン同様に、チェーン規制時の装着対象として認められています。当然、夏タイヤに被せるのはもちろんのこと、今回のようにスタッドレスタイヤにスノーソックスを被せればチェーン規制にも対応できることになります。 ただし、圧雪路になる前のアスファルト路面とシャーベット路面が混在するような状況では、試しに推奨速度「時速40km/h」を超えて走行すると少し滑るような感覚があり、不安を感じました。これは金属製&非金属チェーンでも感じる感覚なのですが、本来の性能を発揮するためには、しつこいですが推奨速度の厳守が必須で、耐久性にも大きな影響を与えることになります。降雪時には自然と交通量全体の速度が落ちるので、40km/h以下でも流れに乗れるはずです。仮に後ろからスタッドレスタイヤを装着した車両などが迫ってきたら、道を譲るぐらいのゆとりがほしいところです。 そして気になる耐久性ですが「イッセ・スノーソックス」の「スーパー」を昨シーズンからテストも含めて雪上を20km少々走行していますが、穴や破れはありません。使用制限速度の時速40km/hを守れば、100kmぐらいは穴も開くことなく使用できた、という報告もあります。また穴が開いてもしばらくは使用できるため、200kmほど使用できたという運送業者さんの報告もありました。新たに加わった「type II」シリーズなら、さらに耐久性は高くなるはずです。 間もなく本格的な降雪のシーズンを迎え、首都圏でも積雪の可能性が高まります。圧雪路での発進、加速、ブレーキング、そしてコーナリングでは不安を感じることなく走れる「スノーソックス」を始め、布製滑り止めを検討してみてはどうでしょう。
【プロフィール】 佐藤篤司(さとう・あつし)/男性週刊誌、男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。