クロワッサンの「進化形」おにぎり形、円柱状…続々登場
若者に人気、SNSで広まる
バターたっぷりでサクサクの食感が魅力のクロワッサンの変わり種が次々と登場している。従来の生地を使いながらも、見た目を変えた「進化形」が目立つ。クリームを使った種類が多く、スイーツとして楽しめそうだ。 クロワッサンはバターを練り込んだ生地を何層にも重ね、三日月形に焼き上げたパン。最近は形にこだわらない変わり種が目立つ。 「本当におにぎりみたい」「ノリがついているよ」 大阪や愛知に店舗を構える韓国スイーツ店「マダン」が東京・新大久保の期間限定店舗で4~5月に販売したのが、三角形の「オニワッサン」。訪れた女性客らが次々と買い求めた。
マダン代表の柳勝博さんによると、オニワッサンは2023年に韓国で流行した、おにぎりの形をしたクロワッサンで、ノリがトレードマーク。サクサクの生地の中にクリームがたっぷり入る。ヨモギやきなこのクリームのほか、明太クリームチーズも人気だ。1個500~600円台。柳さんは「おにぎりの形に焼き上げるのはとても難しい。SNSで若い人を中心に知られるようになり、写真を撮る人も多い」と話す。
クロワッサンスイーツの専門店も登場している。 昨年12月、東京・有楽町に開店した「プレーヌ バイ キタサンドウコーヒー」が扱うのは、円柱状に焼き上げたクロワッサン。形からフランス語で「満月」を意味する「プレーヌ」と名付けられた。こちらも中はクリームたっぷりで、上の部分にトッピングが施される。 「いちごショート」(778円)は名前の通り、生クリームとイチゴをのせた商品で、見た目はケーキそっくり。季節に合わせた期間限定商品もあり、担当者は「手土産としても喜んでもらっている」と話す。
若手職人らが海外情報を参考に
コンビニ大手・ローソンも進化形クロワッサンの商品を相次いで開発している。3月に外はサックリ、中はしっとりの異なった食感が楽しめる「パンスイス チョコ&カスタード」(160円)を発売。6月からは新しい味の「苺&カスタード」(同)を追加した。 担当者は「食事として食べるだけでなく、自分へのご褒美としての人気も集めている」と話す。 パンの流行に詳しい、一般社団法人「パン好き協会」会長の石臥博代さんは「形の自由度が高まり、ここ数年でいろんな種類が登場している」と話す。SNSで発信された海外のクロワッサン情報を若手の職人らが参考にし、新たな商品が生まれているという。 その一つが、韓国で流行する、平らに焼き上げたクロワッサン「クルンジ」で、自宅で手軽に味わうことができる。 少ししっとりしたクロワッサンを麺棒で延ばし、それをフライパンに押しつけるようにして焼く。しみ出てきたバターでサクサク食感を楽しめる。焼き上がりに砂糖を加えるとカリカリになる。 石臥さんは「クロワッサンはスイーツとしてより幅広く愛されるようになってきた。見た目のかわいらしさはもちろん、味もしっかりしている進化形が多く、好みの商品を探してみては」と話している。(読売新聞生活部 加藤亮)