リーグ3連覇も達成したオリックス中嶋聡監督、電撃退任の背景 ナインに求めた"基本的なこと"とは
名将がまた一人、去ることになった。 オリックス・中嶋聡監督は最終戦の10月6日の楽天戦(楽天モバイルパーク)後に今季限りで辞任することを表明した。 【動画】育成出身左腕、佐藤が巨人相手に堂々たるピッチングを見せたシーン 最下位だったチームを立て直し、リーグ3連覇、22年には日本一も達成した。2軍監督時代から見てきたチルドレンも多く、選手の調子の良さを見極め、柔軟な起用で勝ち星を積み重ねる様は「ナカジマジック」ともいわれた。 ただ就任4年目となった今季はエースの山本由伸もいなくなり、課題の打線も2桁本塁打をマークしたのは15本塁打のレアンドロ・セディーニョと11本の杉本裕太郎のみとパンチ力不足も否めなかった。 球団からの再三の慰留にも首をたてに振ることはなく現場を去ることになった。2軍監督時代から成長を見てきた選手も多く、勝負師として、巻き返しを図りたいという気持ちもあったとされる中、決断に至った理由は何だったのか。 一つには最下位からの這い上がりでリーグ3連覇を果たしたチームに緩みが感じられたこともあったという。 就任時からナインに対して、全力疾走や攻守交替時の機敏な動きを求めてきたとされるが、繰り返し伝えても徹底されなかったことも指揮官は納得がいかない理由だったと報じられている。 凡事徹底は勝負ごとでは大事なキーワードとされる。当たり前のことを当たり前にできなければ、大きな成果も得られない。昨年日本一となった阪神では4番の大山悠輔が打席でたとえゴロを打っても、常に一塁へ全力疾走を欠かさないことで知られる。チームの核となる選手が真摯に野球に取り組んでいれば、自然と上昇気流も生まれてくる。 チームでは8月の試合で二塁ベースカバーを怠った紅林引太郎に中嶋監督がカミナリを落としたシーンも話題となった。 指揮官は選手たちの成長を願い、さらに大きく飛躍を求めるからこそ、愛ある苦言を与えてきたともいえる。 ひとまずリーグ3連覇の功績を作った名将はチームを去ることになった。チームにとっても来季は一層、各選手の自立、自覚を促すシーズンとなりそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]